2018.11.20
子宮頚がん予防「ワクチンの今後考える」 群馬県医師会 公開講座
子宮頚がんの検診やワクチンについて知ってもらおうと県医師会主催の県民公開講座が高崎市で開かれた。子宮頚がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に抵抗力を付けるワクチンについて、市民や医療関係者が最新の知見を学び、ワクチンの今後を考えた。講師は日本産婦人科医師会常務理事で自治医科大名誉教授(鈴木光明氏)、子宮頚がんを経験した参院議員(三原じゅん子氏)、産科婦人科舘出張佐藤病院院長(佐藤雄一氏ら3氏が講演した。
鈴木教授は「子宮頚がんは若い人が罹る病気で妊娠困難や生命に危険をおよぼす」と指摘する。HPV感染からがんになる過程を解説し、「子宮頚がんはHPVワクチンと検診で撲滅できる」と強調した。また、国内外の調査研究で予防の効果向上や重大な副作用は低いと説明」。一方、接種後に症状が出た場合は各都道府県の協力医療機関の拠点病院で対応するが、患者様全てが行ける訳で無いので地域の医師、保健師らでネットワークをつくり対応することが大事と呼びかけた。
佐藤院長は検診の受診率が低い現状に加え、検診だけでは予防は難しいとし、「娘もワクチンを打った。ワクチンの有効性を認め、勇気をもってその恩恵を受けてもらう様努力したい」と話した。
子宮頚がんの闘病経験を踏まえHPVワクチン接種を勧めるため国会議員を目指したと言う三原議員はワクチン定期接種を国が再開しても「安心しなければ接種してくれない」とし、情報提供の大切さを訴えた。
子宮頚がんとHPVワクチンの現状
HPVは男女ともに保有するありふれたウイルスである。性交渉で感染するため、ワクチンは性交渉経験前の接種が推奨されている。感染しても約90%の人は自分の免疫力でウイルスを排除することができるが、残り10%の人が数年以上かけて子宮頚がんに進行する。子宮がんのうち約70%に子宮頚がんが占める。
以前は発症のピークは40~50歳代でしたが最近は20歳代の若い女性が増加して30歳に発症のピークが移行しています。国内では年間約1万人の女性が子宮頚がんに罹り約3000人が死亡しています。
子宮頚がんの原因となるHPVに免疫力を付けるワクチンは、日本では2013年4月に定期接種の対象となったが、接種後に全身の痛みなど訴えが相次ぎ、国は僅か2か月後に積極的な接種の呼び掛けをやめた。ワクチンの副作用だとして国、製薬会社に賠償金を求める訴訟が各地で続く一方、世界保健機構(WHO)や日本産婦人科学会は接種を呼び掛ける立場を表明している。