2018.4.28
「全身に生じる激しいかゆみ=肝臓の病気が原因の可能性」
肝臓は「体内の化学工場」と言われるほど重要な役目を担い、その働きが弱まると体がだるくなったり、手足がつったりします。「沈黙の臓器」と呼ばれるものの、自覚症状として表れることもあります。かゆみもその一つです。肝臓病に詳しい虎の門病院分院の熊田分院長によると、肝臓病患者の3人に1人はかゆみが出るといいます。
胆汁という消化液を生成して分泌している肝臓の機能が低下すると、胆汁の流れが悪くなってかゆみが生じます。中年以降の女性に発症することが多い原発性胆汁性肝硬変は、胆管が壊れて胆汁の流れが滞る病気ですが、黄疸などの症状に伴ってかゆみが出ることがあります。肝臓がん、C型肝炎、アルコール性肝炎など慢性の肝臓病でも、病状が進むとかゆみが表れたり、強まったりします。肝臓病のかゆみは全身に広がり、掻いても治まらないのが特徴です。かゆくて眠れず、イライラして、日常生活に支障が生じることもあります。
虫刺されやかぶれなどで起きるかゆみはヒスタミンという物質が原因です。一般的なかゆみは、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬でたいてい治まります。しかし、肝臓病によるかゆみは、オピオイドと呼ばれる物質が関係していて、脳が直接刺激を受け、かゆみを感じます。そのため、抗ヒスタミン薬などでは治療効果が期待できないことが多いようです。
薬が効きにくいかゆみがあり、体がだるいなど気になる症状があれば、早めに医師に相談しましょう。
時事メディカルより引用