2018.01.11

「パーキンソン病患者 血中のカフェインが低め」

手足などがうまく動かせなくなるパーキンソン病の患者は、健康な人に比べて血液中のカフェイン濃度が低いことを順天堂大のグループが発見しました。新たな診断法や治療法の開発につながる可能性があるとしています。4日付の米専門誌に発表されました。
パーキンソン病は手足が震えたり、転びやすくなったりするなどの症状が徐々に進行します。体の動きを調節する脳の神経細胞の減少が原因とされています。
コーヒーなどに含まれるカフェインにパーキンソン病の予防効果があることは最近複数の研究で分かってきました。研究グループは、患者の血中のカフェインに着目。患者108人と健康な人31人のカフェイン濃度を比較したところ、患者のカフェイン濃度は健康な人の3分の1程度しかなく、カフェイン関連9物質の濃度も低かったそうです。また同じ量のカフェインを摂取しても患者の血中濃度は健康な人ほど高くならなかったそうです。
カフェインには脳の神経細胞を保護する役割があるとみられています。グループは、パーキンソン病の患者は小腸でカフェインを吸収する力が弱いため血中濃度が低くなり、発症リスクが高まると結論づけました。
同大の斉木臣二准教授(脳神経内科)は「採血による早期の診断法を開発し、発症予防や症状の進行抑制につなげたい。カフェインを皮膚から吸収できる薬の開発も進める。」と話しています。

カフェインのメリット・デメリット
カフェインには、中枢神経興奮作用、強心作用、利尿作用、平滑筋弛緩作用などの働きがあります。適量のカフェインは、眠気防止やリフレッシュ効果、さらには脂肪燃焼作用といったメリットがありますが、大量に摂取すると、不整脈、不安、興奮、不眠などの問題が起こることもあります。
カフェインの摂取量には十分な注意が必要です。カフェインは適量を守り摂り過ぎないよう気を付けましょう。
※カフェインを含む主な飲料、食品、医薬品
・カフェインを豊富に含む飲料
(お茶、コーヒー、ココア、コーラ飲料、栄養ドリンク、エナジードリンク)
・カフェインの含む食品
(チョコレート、眠気防止のガム)
・医薬品
(総合感冒薬、咳止め薬、鎮痛薬、眠気予防薬、強心薬)
※150㎎の飲料に含まれるカフェイン含有量のおおよその目安
玉露180㎎、ドリップコーヒー90㎎、インスタントコーヒー85㎎、ココア50㎎、
紅茶45㎎、緑茶30㎎。
その他にも、コーラ(350ml)36~46㎎、チョコレート(50g)60㎎。
※欧州食品安全機関(EFSA)が健康な成人が摂取しても安全とみなしたカフェインの量
安全とみなされる量 体重40㎏の人 体重60㎏の人 体重80㎏の人
成人:1回に3㎎/㎏まで 1回120㎎まで 1回180㎎まで 1日240㎎まで
成人:1日に5.7㎎/㎏まで 1日228㎎まで 1日342㎎まで 1日456㎎まで
小児~青年:1日に3㎎/㎏まで 1日120㎎まで 1日180㎎まで 1日240㎎まで
妊婦・授乳婦:1日200㎎まで
参考文献EFSAJ2015

毎日新聞 ヘルスケア大学引用