夏は虫の活動が活発になる時期です。子どもの虫さされは大人より腫れやすくかき壊すと「とびひ」の原因にもなります。「とびひ」になってしまうと、病院への受診が必要になるため、注意が必要です。そんな虫さされ予防といえばやはり虫よけです。
多種の虫よけ お勧めなのは?
 虫よけにはいくつかの種類があります。一番メジャーなのは、「ディート」という成分です。
一番広範囲の虫をカバーしてくれます。このディートはいろいろな濃度のものが売られていることをご存じでしょうか。この濃度の違いは、効果の続く時間に関係します。通常は、10%で2~3時間、30%で6~8時間ほど効きます。30%のものであれば、こまめに塗り直さなくてもいいので便利です。子どもへの使用方法も決められています。厚労省の通達によると、6か月未満の乳児には使用できません。6か月~2歳未満は1日1回、2歳~12歳未満は1日1~3回とされています。実は、この使用制限に医学的な根拠は乏しいのです。米国小児科学会では、ディートは生後2か月以降、特に年齢制限なく、30%以下のものであれば使用可としています。塗りすぎると、皮膚がヒリヒリしたり、アレルギー反応を起こす可能性はありますが、実際の使用で大きな副作用が出たという報告はほとんどありません。ちなみに、妊婦さんや授乳中のお母さんも使うことができます。ただ、独特のにおいがあり、それが苦手な人もいます。
 もう一つ、イカリジンという虫よけもお勧めです。こちらも非常に安全な虫よけです。ディートよりカバーする虫は少ないですが、皮膚の刺激性が少なく、においも強くはありません。こちらは、日本でも年齢制限や塗る回数の制限もなく、赤ちゃんも使うことができます。15%濃度で約6~8時間効果があります。
 一方、虫アロマなどで手作りの虫よけを作られる方もいらっしゃるようです。植物由来の虫よけといえば、例えば、レモンユーカリ油の虫よけがあります。蚊、アブなどに効果がありますが、ディートやイカリジンほど効果は強くありません。また、レモンユーカリ油と聞くと、体に優しそうなイメージがあるかもしれませんが、目に強い刺激があり、安全性が確認できていないという理由で、3歳未満には使用禁止です。他の植物由来の虫よけとしては、シトロネラ、ゼラニウム、植物油などがあります。ただ、これらは残念ながらディートよりずっと効果が低いとされています。薬剤をしみこませたリストバンド型、超音波を発するタイプの虫よけ商品も出ていますが、こちらも米国小児科学会では「効果はない」としています。リング型やシール型も同様に明確な効果は証明されていません。
虫よけを使うときに気をつけてほしいのは、塗りすぎないことです。あくまで露出している肌に塗り、服に隠れる部分まで塗る必要はありません。また、小児の場合は特に成分を吸い込まないよう、スプレータイプではなく、ローションタイプを選び、保護者の手に一度付けてから塗ってあげるのがよいです。
 もし虫に刺された場合、対処方法はまず流水でよく洗い流してください。また患部を冷やすとかゆみが軽くなることが多いです。そして、虫さされ用の軟膏(炎症を抑えるために抗ヒスタミン薬やステロイドの成分が入っています)を塗ってください。腫れが強いときは、皮膚科もしくは小児科を受診してください。

(YomiDrより引用)