「B型肝炎感染者への受給一割未満、救済に遅れ」
B型肝炎ウイルス(HBV)は全世界で約3億5000万人が感染していると言われ、そのうち日本では約130万~150万人が感染していると推定されています。B型肝炎はウイルスに汚染された血液や体液が輸血、母子感染、性感染などで起こります。また、集団予防接種の際の注射器の使い回しによる感染もありました。肝炎が持続すると慢性肝炎から肝硬変、そして肝細胞癌へ進展する可能性があります。
集団予防接種での注射器使い回しは国が禁じた1988年まで約40年間続けられこの間にB型肝炎ウイルス感染者(推定45万人)が拡大されたと思われます。感染者の救済目的の特別処置法施行から今年1月で5年が経過しました。この間、国に訴訟した人は4万3487人で感染者の約一割にも満たず、訴訟で和解し給付金の支給資格を得た人は2万6000人だったことが今月18日に分かりました。症状が無く感染に気付きにくい人が多く、手続きに時間がかかる事がその原因とされています。
給付金は未発症者も含め症状により50万~3600万円で、感染者が訴訟を起こし母子手帳やカルテによって予防接種との因果関係の認定を受け和解する手続きが必要です。被害者が亡くなっている場合は遺族の訴訟も認められています。
一方、訴訟したが和解に至っていない人は約1万7000人で弁護団によると訴訟者は年々増加傾向にあるが和解成立まで困難な状況が続いています。以前は訴訟期間は3か月~5カ月だったが現在は1年程度延び時間が掛かることが影響しているという。
厚労省は制度から漏れる被害者がいない様、ウイルス検査を呼びかけるホームページの作成や検査費の助成をしています。また、訴訟の長期化を解消するため、カルテの審査などを担当する職員を4月以降増やす方針です。
原告側は給付金対象者が1割にも満たないこの現状に対し、2022年1月で給付金の請求期限が迫る中、全被害者が救済されるまで請求期限を延長するよう求めています。
上毛新聞(国内社会欄より)引用