2018.9.20
「突発性難聴」
突発難聴は片側の耳の聞こえ方が急におかしくなる病気です。何月何日の何時頃とはっきり説明できるほどで、「おかしくなる」とは単に聞こえが悪くなるだけではなく、耳鳴りや耳閉感があったり、普段と違う聞こえ方をしたりすることもあります。また、眩暈を伴うことも少なくありません。眩暈は脳の病気と関連することがあり、脳の病気への不安から聞こえの異常より眩暈に気をとられがちですが、聞こえ方の異常を伴っているときは、突発性難聴である可能性が高いと考えて、まず耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳は外界の音をとらえて大脳に伝える働きしている感覚器官で、外耳、中耳、内耳の3つの部分からなっています。外耳から中耳に至る経路に障害があって振動が十分に伝わらない場合を伝音難聴、内耳から大脳までの経路に障害があって振動がうまく電気信号に変換されなかったり、伝達されなかったりする場合を感音難聴と言います。突発性難聴は内耳に問題がある感音難聴の1つです。
突発性難聴の詳しい原因はまだわかっていませんが、有力な説は2つあります。1つは免疫力が低下している時に内耳の感覚細胞にウイルスが感染し、細胞が障害されると考えられます。もう1つは何らかの原因で内耳の血流が悪くなり、機能低下を起こすと考えられています。例えばストレスがかかると交感神経が刺激され、毛細血管が収縮して血流が悪くなります。突発性難聴の発症の誘因としてストレスや、過労が指摘されています。発症後は完治する人、聴力が低下する人、重い難聴が残る人が、それぞれ3分の1ずつといわれています。治りにくい人の特徴は、発症時の症状が重い人や、治療開始までの時期が長かった人です。感覚細胞の障害は時がたつほど重くなり、やがて完全に壊れてしまいます。いったん壊れたら元に戻りません。治療開始は1週間以内、遅くても2週間以内と覚えておきましょう。
突発性難聴の治療は対症療法として薬物療法が行われます。主にステロイド薬の内服または点滴での治療となります。病状に応じてビタミンB⒓製剤、循環改善薬、神経賦活薬などが併用されます。薬物療法以外では血流改善を目的とした高圧酸素療法や混合ガス療法、星状神経ブロック、鍼治療などもあります。
治療の効果は1週間ほどで現れます。この時点で改善していれば治る可能性は高いと言えますが改善していなければその状態が固定することが多いのが実情です。
治療期間の目安は1週間から2週間です。突発性難聴は急性疾患で、早期に治療を開始することが完治への決め手になります。
聞こえ方に異常がある場合は1週間以内に専門医に相談してください。
健康情報誌 こまど より