2018.08.23
「タミフル、10歳代への使用差し控えが解除に 厚労省が添付文書の改訂を指示」
厚生労働省は8月21日、抗インフルエンザウイルス薬のタミフル(一般名オセルタミビルリン酸塩)の添付文書の警告欄の改訂の指示を日本製薬団体連合会に出した。警告欄にはこれまで、服用後に異常行動が現れることがあったことから10歳代の患者への使用を原則差し控えることとされていたが、この記述を削除するよう求めた。
タミフルについては、服用した中学生が自宅療養中に自宅のマンションから転落する事故などが起きたことを受け、これまでは添付文書の警告欄で、ハイリスク患者と判断される場合を除き、10歳代の患者には「原則として使用を差し控えること」とされていた。
類似薬のリレンザ(一般名ザナミビル水和物)やイナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)、ラピアクタ(ペラミビル水和物)に関しては、10歳代の患者への使用を差し控える措置はないものの、添付文書の「重要な基本的注意」の項に、異常行動が現れた事例が報告されていることが記載されていた。
しかし、5月に開かれた薬事・食品衛生審議会の医薬品等安全対策部会の調査会で、約10年間の疫学研究の結果などを踏まえ、抗インフルエンザウイルス薬の安全対策の在り方を議論。その結果、▽同薬剤の処方の有無や種類にかかわらず、インフルエンザの罹患時異常行動が現れる▽タミフルや他の類似薬ともに異常行動の発現頻度は、10歳代と10歳未満とで明確な差はない―ことから、「タミフルの服用のみに異常行動と因果関係があるとは言えない」と結論付けていた。
また、異常行動の発現との因果関係は不明だが、タミフルに限って10歳代の患者に対する使用差し控えの措置を続ける必要性は乏しく、解除することが妥当だと判断した。
通知では、タミフルの添付文書の警告欄の記述の削除に加え、「重要な基本的注意」の項に、自宅療養の場合は、少なくとも発熱から2日間は転落事故などの予防策を講じるよう患者の家族らに説明することを追記すべきだとしている。
リレンザやイナビル、ラピアクタについても、「重要な基本的注意」の項に、同様の記載を求めている。
CBnews引用