2018.8.22
「iPS血小板輸血で京大 厚労省に臨床研究申請 (上毛新聞記載)」
血液成分の1つで止血作用のある血小板を人工多機能幹細胞(iPS細胞)から作り、血小板などが減る難病「再生不良性貧血」の患者に輸血する臨床研究の実施を厚労省に申請したと、京都大の江藤浩之教授らのチームが20日に京大
病院で発表した。
29日に厚労省の専門部会で初審議される予定で、今後承認されれば1年以内に
iPS血小板輸血を開始したいと計画。
iPS細胞を使う再生医療は世界初の臨床研究が網膜で行われ、次に心臓病や脳の神経細胞が減るパーキンソン病など患部ごとの研究が進むが、今回は全身に行き渡る血液成分への応用で一層の慎重さが求められる。
再生不良性貧血は血液中の血小板や白血球などが減少し、出血し易くなるほか、感染症にかかりやすくなったりする。
血小板減少に対しては通常は血小板輸血などの治療があるが、今回の臨床研究は特殊な血小板で免疫による拒絶反応がおこるため、通常の血小板輸血ができない患者一人が対象。患者自身のiPS細胞から作った血小板を輸血すれば拒絶反応が抑えられるとみている。
計画では作成したiPS血小板を徐々に増やし輸血し、最後の3回目に約1千億個のiPS血小板を輸血して、副作用が起きないか、体内で血小板が増えるかなど1年間経過観察する。
血小板について
血小板の働きは傷つき出血した血管は収縮して損傷部に血小板が集まり凝集して血栓形成(1次血栓形成)、血液凝固(2次血栓形成)による止血作用する。
血小板の形態は血液中の細胞の中で血小板は一番小さく直径(3μm)で、数は、血液1μL 当たり20~40万個、5万/μL以下になると止血障害が起こる。
血小板の誕生と寿命は骨髄で巨大核細胞(巨核球)がちぎれて血小板と成る。寿命は7~10日と短い。
血小板の病気は血小板減少症(血小板減少症紫斑病)、血小板無力症(遺伝性疾患)などがある。