2017.8.1

今日から8月です。8月といえば夏真っ盛り。夏まつり・海水浴・花火など活動的で活発なイメージが一般的に思いつきます。しかし一方で、死者の世界とのつながりが最も近い月であり、亡くなられた方を偲ぶ「鎮魂」の月、というイメージも個人的に強く持っています。

もともと、ご先祖様の霊が子孫の家に戻るといわれる「お盆」があるのが、(地域によって違いはありますが)8月です。日本人は、古来から先祖の霊に守られることによって幸福な生活が送ることが出来る、と考えていました。そのご先祖様を感謝の気持ちを込めて家にお迎えし、供養するのが「お盆」です。

そのうえで、8月6日は広島原爆の日、9日は長崎原爆の日、そして15日に終戦記念日 があり、さらに12日は御巣鷹山日航機墜落事故の日であります。日本人にとって、語り継いでいかなければいけない意味のある日が3日おきに訪れます。

ご先祖様に対して、そして戦争や事故で亡くなられた多くの方に対して、供養のため目を閉じ、手を合わせる時間は、故人との対話の時間でもあります。そこで故人の生きざまを想うことで、今の自分の生き方と照らしあわせて自身を省みたり、今自分が健康に生活できていることにあらためて感謝したりできるのです。

調べてみると、日本の夏は、色々な形で故人を偲ぶ仕掛けがたくさんあります。盆踊りも、花火大会も、死者の霊魂を鎮める意味合いがあるようです。たとえば隅田川花火大会。江戸時代、病気や飢饉で多数の死者が出ていたのを憂い、時の将軍吉宗が隅田川の水神祭りで大きな花火を披露し、死者の霊を慰め悪疫の退散を祈ったのが始まりだといわれています。さらに関東大震災・東京大空襲という二つの大きな火に包まれ、隅田川界隈では多くの命が失われました。その地で毎年打ち上げられる花火は鎮魂の献花ともいえます。

私の実家では毎年8月15日に開催される地元の花火大会を、送り盆の後、先祖の墓の前に座って皆で鑑賞しています。夫や姉の家族も一緒にいます。単純にそこが一番見晴しがよい場所だからという理由もありますし、花火が好きだった父のいる墓前でみることで父を偲ぶという理由もあります。そしてはからずも花火が、先祖供養の「送り火」の意味もあったと今回気づき、このイベントは続けなければと思いました。

日本人にとっての鎮魂の季節。盆踊りに参加して賑やかにでも、黙祷して静かにでも、それぞれのやり方で故人との良きコミュニケーションをとっていただけたらと思います。