千葉大 千葉大学は 4 月 21 日、新型コロナウイルス感染症について、PCR 検査陽性率と 死亡者数との相関関係がある解析結果を発表した。
世界の感染拡大は、各国の PCR 検査陽性者数の増加で報告されている。PCR 検査 は、リスクの低い人に対し大量に実施しても誤って陽性となる数が多くなるの で、検査の意味がなくなる。必要な検査数を保つことが重要で、陽性率はその 指標になる。 新型コロナウイルス感染症では無症状感染者が多くいることから、報告の数字 は各国の検査の徹底度に影響されており、感染者数を正確には表していないと 考えられる。そこで、1 日の死亡者数をその国の人口で補正したデータを、その 変化のパターンから地域ごとの予測を可能とする機械学習で解析した。 そ
の結果、人口 1 億人あたりの 1 日の死亡者数は、世界の多くの国で感染拡大 30 日後にほぼ一定となり、その推定値(中央値)は、西洋諸国(欧州、北米、 オセアニアを含む)で 1,180 人であるのに対し、中東で 128 人、ラテンアメリ カでは 97 人、アジア(中東を除く)では 7 人であった。このように死亡者数か ら解析すると新型コロナウイルス感染症の広がり方には、西洋とアジア地域で は 100 倍程度の著しい地域差が確認された。 地域差の原因は、国の政策、高齢化の程度、BCG ワクチン接種を含む厚生制度、 医療環境、そして国民性などによる影響が考えられるが、民族の遺伝的要因(遺 伝子配列の違い)による可能性もある。ウイルスの細胞への侵入に関わるタン パク質や、ウイルスから体を守るタンパク質の遺伝子の民族による違いなどが 考えられるが、新型コロナとの関連については、今後の研究する必要がある。
アジアの国々でも陽性率が 7%以上の多くの国では感染者の増加が続いている。 日本の陽性率は 4 月 10 日現在 7.8%で上昇傾向にあり、死亡者数を増加させな いために陽性率を低下させるように PCR 検査能力を拡大することが急務と考え られる。 「この研究は世界で初めて新型コロナウイルス感染症での PCR 検査陽性率と死 亡者数との相関を見出したもの。死亡者を増やさないためには、PCR 検査を充実 させることが必要である。しかし、医療従事者の負担を今以上に増やすことは 無理であることをよく理解している。適切であれば医療関係者や研究者等を総 動員してでも前向きに社会全体で PCR 検査拡大を強くサポートする必要性を提 案する」と、研究グループは14述べている。