コレステロールを多く含む食品として、もっともよく知られているのが卵。鶏卵1個には200~240ミリグラムのコレステロールが含まれているため、かつては「卵の摂取は1日1個まで」と常識のように言われてきました。
ところが今は、「食事摂取基準」(厚労省)でコレステロールの目標量は設けられていません。つまり、卵は1日1個まで、とはなっていないのです。これは、食事中のコレステロールの摂取量と血中コレステロール値の相関を示す十分な科学的根拠がないことが分かったためです。
卵のほかに、鶏レバーやスジコやタラコもコレステロールの多い食品として知られていますが、これらについてもコレステロールに関しては、食べる量の制限は設けられていません。
コレステロールは、細胞膜やホルモンを作る働きをしており、生きていく上で必要不可欠な成分です。毎日新たに一定量が必要になるため、食事だけに頼らなくてもいいように肝臓でその多く(約7~8割)を合成しています。食事で取る量が少なければ体内で多く合成され、食事で取る量が多ければ少なく合成されます。つまり、大半は体内で合成されるので食事からの影響は少なく、摂取不足で欠乏症が出ることはありません。また、米国心臓協会は、以前は「1日に300ミリグラム以上の食事性コレステロールを摂取しないこと」と勧めていましたが、最近「その推奨を裏付ける科学的エビデンスは十分ではなかった」と報告。食事性コレステロールは、動脈を実際に詰まらせるタイプの血中コレステロールにさほど影響を与えていないということです。
ただし卵をやみくもに毎日何個も食べ続けてよいかというと、そうではありません。 1日に食べていい量を問われたなら、卵以外にどのような食生活をしているかも関係するため、推奨できる数には個人差があります。脂質異常症や糖尿病の人は、主治医や管理栄養士と相談して、どれくらいなら食べてもOKか知っておくべきです。
一方、健康な人なら、栄養食品として1日1~2個は食べてほしいです。卵は良質なタンパク質やミネラル類も豊富に含むほぼ完全な栄養食材です。ぜひ上手に活用してください。
(日刊ゲンダイより引用)