人間ドックなどで見つかることもある胆石症。自覚症状がない場合は経過観察で済むが、腹痛などの症状が続くと命に関わる恐れも出てくるため、手術などの治療が必要になることもある。
半数は無症状
胆石は、肝臓で作られる胆汁という消化液に含まれる成分が固まったもの。日本人の20人に1人は胆石があるとされる。胆汁には、食事に含まれる脂肪を消化・吸収する働きがある。胆のうという袋にいったんためられた後、胆管を通って十二指腸へと運ばれていく。胆石は、胆のうにも胆管にもできるが、胆のうが全体の4分の3を占める。できる場所で「胆のう結石」「胆管結石」という病名が付く。
胆石を持つ人の約半数は自覚症状がない。ただ、胆のうや胆管に石が詰まるなどすると、おなかや背中に強い痛みが数十分から数時間続いたり、発熱や吐き気などの症状が出たりすることがある。重症化するとショック状態になり、命にかかわる恐れもある。
胆石の種類は主に「コレステロール胆石」と「色素胆石」の二つある。コレステロール胆石は、胆汁のコレステロールが結晶化して作られる。脂質の多い食事や肥満が原因。女性の場合、閉経後は女性ホルモンの低下でコレステロールを排せつする作用が弱まり、胆石ができやすくなると考えられている。
色素胆石は、腸内細菌などが胆のうに入り込むことで作られる。40歳未満ではコレステロール胆石が患者の9割を占めるが、高齢になるにつれて色素胆石の割合が増える。
放置でがんリスク
胆石は、超音波検査などで見つけることができる。胆のうに石ができた場合、胆のうごと摘出する手術が治療の第一選択になる。石だけ取っても再発する可能性が高いためだ。この手術は国内で年間約10万人が受けている。胆のうが失われても、胆管が代わりの機能を果たすため、日常生活に影響は出ない。最近では腹腔鏡手術が一般的。胆管に石がある場合は、胆管に細いチューブを入れて、石を取り出す治療も行われる。胆石ができたまま放っておくと、胆のうにがんができるリスクは、胆石がない人の35倍という報告もある。
予防法は、肉の脂身やバターなど、コレステロール胆石の原因となる脂質を取りすぎないようにすることだ。食物繊維やビタミンCが豊富な野菜や果物は、コレステロールの蓄積を防ぐ効果があるとされ、日頃から積極的に食べるよう心がけたい。
胆石症は一度症状が出ると、何度も繰り返すのが特徴。大きい石が多い人は、がんの発症にも注意が必要だ。胆石の有無を調べる際にがんが見つかることもあり、症状が出た場合は早めに受診しましょう。
(ヨミドクターより引用)