2019.1.18
「ジベル薔薇色粃糠疹」
この皮膚病は全身あるいは体幹(お腹や背中)を主とした部分に紅斑(赤い斑点)がたくさんできる病気です。この多発性の紅斑の体幹における配列模様がクリスマスツリーのように見えるのが特徴です。発熱や倦怠感などの全身症状はほとんどなく皮膚病の有りがちな痒みもほとんどありません。
この病気は比較的若い人(10代~30代)に出来やすく夏より冬場に多いと言われています。始めは軽い風邪症状がありその1~2週間後に突然、指先位の紅斑が体中に沢山できて驚いて受診される方が多いようです。
詳しく問診してみると親指くらいの大きさの赤みの少し強い、表面に鱗屑(りんせつ:皮膚表面の角質が剝がれた状態)が付着した数個の皮疹(皮膚に出来る病変)が多発性紅斑のできる前に先行して生じている場合もあるようです。これを原発疹と言っています。その後にできる多発性紅斑にも粉をふいた様にみえる鱗屑が付着しており個々の形は横に広がった楕円形をしているのが特徴です。
この病気の原因は何らかのウイルス感染による二次的な反応と考えられますが、詳しいことは不明です。この病気自体が伝染することはありません。ほとんどの場合1~2か月で後を残さず自然治癒するため、特別な治療は必要ない場合が多いのですが、まれに痒みが強いなど不快な症状がでることがあり、その場合には症状を軽減する外用薬や内服薬が処方されることもあります。再発はまれとされています。
全身に紅斑が多発する皮膚疾患には時として、薬疹、ウイルス性発疹など重症化するものもあり注意を要します。その他、よく似た病気に梅毒2期疹、脂漏性皮膚炎、乾癬、ジアノッティー症候群、癜風などがあり、鑑別のため血液検査や菌検査、皮膚生検を必要とする場合も少なくありません。多発性の紅斑が生じたら、早めに皮膚科専門医を受診されることをお勧めします。
日本臨床皮膚科医会 皮膚の病気より