2017年3月11日
群馬県によると原発事故や震災で、福島県や宮城県、岩手県から群馬県に避難している人たちは、2月末の時点で合わせて962人です。これは最も多かった震災直後の6年前の3月の3730人と比べると、4分の1まで減っています。
一方福島県内で避難指示が出ている区域以外から自主的に群馬県内に避難している人たちは、1月末現在で93世帯254人いますが、福島県はこうした自主的な避難者への住宅の無償提供の支援を今月で打ち切ることにしています。そして、原発事故の影響で住民が避難を余儀なくされている福島県の4つの町や村で、4月1日までに避難指示が解除されます。
復興が進んでいる、とみてよいのでしょうか?
・・・その答えの1つとして、3月10日放送NHK「おはよう日本」内での、村田英明解説員の解説がわかりやすかったので引用させていただきます。
『実際は、復興に向けて、ようやく一歩踏み出したといったところです。
6年前の福島第一原発の事故の後、周辺の住民に出された避難指示は、除染が進んだ地域から順に解除されていて、浪江町、飯舘村、川俣町が3月31日、富岡町が4月1日に解除になり、およそ3万2000人の住民が新たに帰還できるようになります。
しかし、放射線量が比較的高い「帰還困難区域」など、7つの市町村にまたがるエリアでは、今後も避難指示が継続し、本格的な除染作業もこれからです。およそ
2万4000人の住民の帰還の見通しは立っていません。』
それでも今回帰還できるようになった住民にとっては、待ち望んでいたことなのでしょうか?…実はそういう思いを抱く人は減ってきているようです。
『避難指示の解除を前に復興庁などが住民の意向を調査したところ、ふるさとに「戻りたい」と答えた人は富岡町で16%、浪江町で18%などに止まり、原発に近い地域ほど帰還を望む人が少なくなっています。
除染を進めても住民が戻れない理由のひとつには、放射線に対する不安が根強いことがありますが、これと並んで理由として多かったのが、医療や介護を受けられなくなることへの不安です。富岡町や浪江町がある海沿いの双葉郡では、震災前に6つあった病院のうち、診療を行っているのは1つだけで、診療所も震災前の4分の1に減っています。24時間患者を受け入れる県の救急病院が開院するのは来年4月です。
その一方で、長引く避難生活で体が弱り、介護を受けなければ日常生活が困難な高齢者が増えています。国や自治体は、住民に帰還を促すのであれば医療などの生活基盤の復旧を急ぐべきです。
今は仕事や学校などの関係で戻れなくても、安心して生活できる環境が整えば戻りたいと願う被災者もいます。政府は、避難先での生活再建の支援にも力を入れて、いずれは、ふるさとに戻ってもらえるように、長期的な視点に立って住民の帰還を進めて行く必要があると思います。』
参考資料:NHK ONLINE「解説委員室」『震災6年 避難指示解除も進まぬ帰還』より引用