2017年3月10日

受動喫煙とは自分の意思に関わらず他人が吸うタバコの煙をすわされてしまうこと。
タバコの煙には「主流煙」「副流煙」「呼出煙」があります。
「主流煙」とは喫煙者が吸う煙、一般のタバコにはフィルターがついており、それを通過して喫煙者の体内に入っていきます。フィルターは煙をろ過してタールやニコチンを減らし味をまろやかにする働きがあります。それに対し「副流煙」とはタバコに火をつけて燃えて出た煙で「呼出煙」とは喫煙者が吐き出した煙です。このタバコの煙の中には200種類もの有害物質(うち70種類は発がん物質)が含まれています。

 

問題なのはこの副流煙と呼出煙は主流煙よりも害が大きく、主流煙を「1」とした場合の倍率は
ニコチン:2.8倍、タール:3.4倍、一酸化炭素:4.7倍、アンモニア:(目を刺激する)46倍、
ベンツピレン:(発がん物質)3.4倍、ニトロソアミン:(発がん物質)31倍と主流煙よりもかなり多くの有害物質が含まれています。

 

たばこの三大有害物質である

◎ニコチンは神経毒性を持つ物質で末梢血管を収縮させ血圧を上昇させる作用があります。依存性がある為タバコを吸わないとイライラしタバコをやめられない原因になります。

 

◎タールはタバコの成分が熱で分解されてできる物質でベンゼンなど多くの発がん物質が含まれます。

 

◎一酸化炭素はタバコが不完全燃焼するときに発生する物質で血液中では酸素よりも先にヘモグロビンと結合する為、体が酸素不足になり、活動量が低下し疲れやすくなります。また血液中のコレステロールを酸化させ動脈硬化を促進する作用もあります。

 

このように副流煙は様々な作用を持つ有害物質を多く含むためその影響は肺癌だけでなく、喘息などの呼吸器障害、心筋梗塞などのリスクがかなり高まります。

 

◎女性への影響としては、夫が喫煙する場合の同居者(妻)の肺腺癌のリスクは2倍以上になります。受動喫煙の場合、空気中に広がった副流煙の微小有害物質を呼吸と一緒に吸い込むため肺の奥深くまで入りやすくそれが肺腺癌を引き起こす一因だと推測されます。女性の肺腺癌のうち37%が受動喫煙によるものと言われています。他にも受動喫煙により乳がん、子宮頸がんのリスクも高まります。また妊婦や新生児への影響として流産、早産、乳幼児突然死症候群、低体重児出産のリスクも高まります。

 

◎子供への影響として、耳、鼻、喉などの空気の通り道にあたる部分にリスクが高まり、中耳炎、気管支炎、肺炎、肺機能低下などを引き起こします。また脳の働きにも影響があり家庭内で受動喫煙をしている子供は言語能力が低かったり、注意力が散漫になる傾向があると報告があります。

 

タバコの副流煙にはPM2.5(大きさが2.5マイクロメートル以下)という微小の有害物質が大量に含まれています。環境省の基準ではPM2.5の濃度は1日平均35㎍以下(1㎡当たり)と定められています。全面禁煙の部屋では8~22㎍程度ですが喫煙可能な建物内ではその数倍~20倍にも濃度が上がり、喫煙可能な居酒屋では568㎍にも達していたと報告があります。
特に子供や高齢者では気管支炎や肺炎、喘息を起こしやすく、PM2.5の影響で虚血性心疾患、不整脈
急性心筋梗塞発症との関係が指摘されています。発症を予防するため、また大切な家族を守るためには喫煙者は禁煙することはもちろん、受動喫煙も意識的に避けることが大切となります。

参考資料:オムロンヘルスケアより引用