自粛警察とは、緊急事態宣言の下で外出や営業などの自粛要請に応じない個人や店舗に対して、私的な取り締まりを行う一般市民のことを指すとされている。

自粛警察という言葉は、4月上~中旬からみられていたが、4月29日には検索回数が7000件以上となり、その後も高水準で推移している。

自粛警察については、「正義の暴走」や「歪んだ正義」と批判的な見方が大方だが、このように単純に結論づけるだけでいいのだろうか。

NHKは自粛警察に関する報道を行ったが、自粛警察を行ったとされる人たちは「自粛警察と呼ばれる行為をしたつもりはない」と回答している。

心理学では、「普段誰かのために自己犠牲を厭わず真面目に働く人が、理不尽な行為に接すると、自らの損失を顧みず、どんな手を使ってでも、相手に目にもの見せてくれようと燃え立ってしまう」ことが知られている。

この義憤に駆られた行動は、体の中で自然に合成され、精神安定剤とよく似た構造を持つセロトニンという脳内物質が関係していることがわかっている。脳内でのセロトニンの量が少ないほど、利他的行為を行う半面、理不尽な行為に対する許容度が低い傾向があり、日本人の脳内のセロトニン量の分泌量は世界でも最も少ない部類に入ると言われている。脳の生理的な仕組みから見て、自粛警察という現象は日本人の強みが引き起こす負の側面であるといえるのかもしれない

専門家は「人にはそれぞれ事情があり、非常時の最適な行動も人によって違うことを理解しなければならない」と呼びかけているが、地域社会におけるコミュニケーション不足という古くて新しい問題が露呈したかたちである。

こんな時だからこそ、冷静な行動を心掛けたいものです。

(https://biz-journal.jp/2020/05/post_157158_3.htm引用)