新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが加速するなか、迫り来る世界的な不況は、今年さらに数十万人の子どもの命を奪い、乳児死亡率の低下における近年の成果が大きく覆すおそれがあることを、16日に発表された国連報告書が明らかにしました。新たな調査結果に関する声明の中で国連事務総長のアントニオ・グテーレスは、世界的危機の中で子どもたちを支援するための緊急の行動を求めました。パンデミック、そしてその対策が社会や経済に及ぼす影響が、世界の何百万人もの子どもたちにとって深刻なものになる可能性について指摘しています。

世界のほぼすべての子どもが学校に通えない状況にあります。約190カ国で休校措置がとられ、15億人の子どもと若者に影響を及ぼしています。本報告書は、子どもたちの今日の学習、そして将来の成長における影響を測るのは困難だと述べています。
もう一つの重要な懸念事項は子どもの栄養だと、本報告書は指摘しています。パンデミック以前でさえ、子どもの栄養不良と発育阻害は許容できない水準にありましたが、学校が休みのため、給食を頼りにしていた約3億6,800万人の子どもたちが、日々の栄養を摂取できずにいます。一方、急に実施されたロックダウンによって、食品業界のサプライチェーンと地域の市場が混乱するリスクが生まれ、食品が手に入らないという重大な脅威をもたらしています。
本報告書によると、世界の子どもの約6割が、完全または部分的なロックダウンを実施している国で暮らしています。危機が深まるにつれ、家庭でのストレスレベルも上昇し、家庭に閉じ込められた子どもたちは、家庭内暴力や虐待の被害者やその目撃者になるでしょう。

また、ポリオの予防接種キャンペーンが中断されたため、最後のポリオ常在国であるアフガニスタンとパキスタンでは、根絶に向けた取り組みが遅れています。さらに、23カ国で合計約8,000万人の子どもを対象にしていたはしかの予防接種キャンペーンが中断しています。本報告書では、国連があらゆる状況下で活動し、子どもたちのために行動する世界の国々を支援する準備があることを強調しています。グテーレスは、次のように述べています。「パンデミックによって、非常に多くの子どもたちが危機に直面しているため、私は緊急の呼びかけを繰り返します。子どもたちを、彼らの幸福を私たちの手で守りましょう」

(新型コロナウイルスの子どもへの影響ー国連による新報告書より引用)