入浴中に浴槽で体調を崩した高齢者のうち、8割以上が熱中症かその疑いがあることが分かりました。厚生労働省の人口動態統計によると、2016年の家庭での浴槽での溺死者数は、5138人。なかでも、65歳以上の高齢者数は4756人と、全体の約9割を占めています。
65歳以上の男女3000人を対象に入浴に関するアンケートを実施したところ入浴中に具合が悪くなったことがある人は10.8%に上り、その内訳は熱中症が62.2%、熱中症の疑いが22%。ヒートショックの疑いは、入浴前後を合わせても7.1%でした。
体温37℃の人が全身浴をした場合、湯温が41℃だと33分、42℃だと26分で体温が40℃に達します。この結果、入浴中であっても重度の熱中症の症状が出て、意識障害を生じるリスクが高まることが分かります。そのまま入浴を続け、体温が42.5℃を超えれば突然死することもあり得ます。
熱中症というと夏というイメージがありますが、入浴中に熱中症を起こすのは、冬場が圧倒的に多いそうです。夏に比べて冬は、湯温を2℃ぐらい高くして長めに湯につかる人が多くなります。特に、70歳以上になると、神経の老化によって熱さを感じにくくなり、長時間湯船につかる傾向が高くなります。すると、めまいや頭痛、倦怠感など熱中症の初期症状に気付かないまま、意識障害に陥ることもあります。
予防のためには、湯温は41℃以下、入浴時間は10分以内を目安にするのが有効です。長湯を好む人は、耳式(鼓膜)体温計でこまめに体温を測るのもおすすめです。体温の上がり方には個人差がありますので、日頃の自分の平熱を知り、入浴中の体温の上がり過ぎを防ぎましょう。一般的に、湯温42℃での全身浴では、10分間で体温が1℃上昇するといわれます。入浴中や入浴後に下記の症状が起こったら、熱中症の可能性があります。涼しい場所へ移動し、体を冷やしましょう。
●めまい、立ちくらみ
●生あくびが出る
●大量の汗が出る
●筋肉痛、こむら返りがする
●頭痛
●嘔吐
●倦怠感や虚脱感がある
( 毎日が発見ネットより引用 )