近年、大規模な地震や豪雨などの災害が多発しています。いつ、どこで、どのような災害が発生するかわかりません。みなさんは災害時の備えをしていますか?慢性疾患などで常にお薬を飲んでいる方は、備えの中に薬が入っていますか?
東日本大震災の直後は、自宅に帰れない、交通網が麻痺してかかりつけの病院に行けないなど、さまざまな理由で「いつも飲んでいる薬」が手元にない状況になりました。医療機関や薬局の多くが甚大な被害を受け、診療や営業をしているところには患者さんの長蛇の列ができました。 しかし、電源などのライフラインが断たれているため通常の業務はできません。パソコンで患者さんの薬歴を閲覧することができません。薬の在庫数にも限界があり、震災直後は数日分の薬しかお渡しできなかったそうです。避難所では、津波で薬やお薬手帳が流されて普段飲んでいる薬を服用できず、劣悪な環境下で体調が悪化した方もいました。医療チームも飲んでいた薬を特定するのに苦慮したと聞きます。
災害への日頃からの備えが大切です。
大規模災害発生初期には、緊急度の高い救急患者さんが優先されます。いつも飲んでいる薬は医師との相談の上、多少の予備は手元にあるようにできるとよいかもしれません。薬の中断による身体への影響がとても大きい疾患もあります。ご自身の飲んでいる薬を中断すると身体にどのような影響があるのか、日頃から把握しておきましょう。
お薬手帳は大切です。
あらゆるライフラインが不能になると、当然患者さんのカルテもなく、医師は問診などで対応することになります。普段自分の服用しているお薬の名前を正確に把握している方は少ないのではないでしょうか?その時、手帳があれば、処方内容や併用の薬、病歴などを確認する事ができ、診療がスムーズに行えます。医師や看護師は、薬の名前を見れば、大まかな現病歴を予測する事が可能です。 普段飲んでいる薬の在庫がない場合は代替薬で対応したり、急な体調変化には、新たな薬が処方されることもあります。お薬手帳に既往歴や副作用歴、アレルギー歴を記載しておきましょう。
普段自分の服用している薬の記録を持つという事は、皆様が思っている以上に重要な事なのかもしれません。普段はもちろん緊急時にもあなたを助けてくれるかもしれないお薬手帳。日頃から鞄の中に入れ持ち歩くように心がけましょう。