日本では乳がんにかかる女性が年々増加しています。今では毎年86,000人以上の女性が乳がんと診断されており、胃がんや大腸がんを抜き、今や乳がんは女性がかかるがんの第1位となっております。また、乳がんは20代から85歳以上の方まで、どの年齢層も罹る病気です。年齢別乳がん罹患率では30代で増えてきて、40代後半から50代前半にかけてピークを迎えます。
乳がんの発生や増殖には、「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが深く関っています。乳がんが増加している背景には、女性の社会進出に伴う晩婚化や、食生活やライフスタイルの変化などで乳腺がエストロゲンにさらされている時間が長くなったことが要因として考えられています。また、閉経後は、エストロゲンが脂肪細胞で作られるため、閉経後に肥満している女性では、乳がんのリスクが高くなるとも言われています。
乳房は皮膚と脂肪組織と乳腺組織からできています。乳腺は、母乳をつくる小葉と、母乳を乳首まで運ぶ乳管に分かれていて、これら乳管と小葉に発生する悪性の腫瘍が乳がんです。がんは最初のうちは乳管や小葉に留まっています(“非浸潤性乳がん”)が、やがて乳管・小葉の壁を破壊し(“浸潤性乳がん”)増殖します
初期の乳がんでは全身症状はほとんどありません。「しこり」に気づかずにそのままにしておくと、がん細胞は増殖し乳腺だけにとどまらず、血管やリンパ管を通ってわきの下のリンパ節や肺、骨など全身に広がり転移します。「しこり」は大きくなると、転移や治療後の再発の可能性が高くなります。乳がんのしこりの大きさ、2センチ以下では、10年生存率(治療をしてから10年後の生存率)が約95%となっています。しかし発見・診断・治療が遅れると病期が進むにつれて治療後の生存率が下がります
乳がんができやすい場所:乳房の外側上部は、ほかの部分に比べて乳腺が多いため、乳がんの約半数はここに集中しています。次いで乳房内側上部、外側下部の範囲で、内側下方や乳首の真下にできる場合もあります。 
乳がんになりやすいタイプ:・年齢40歳以上・未婚の人・高齢初産の人・出産をしていない人・初潮が早く、閉経が遅い人・肥満の人、特に閉経後・血縁者に乳がんになった人がいる・良性の乳腺疾患になったことがある。
乳がんと間違えやすい気:・乳腺線維腺腫・乳腺症・のう胞・乳腺炎・葉状腫瘍
乳がんの早期発見の秘訣は自己検診の習慣を身につけることと、マンモグラフィ検診を定期的に受けることです。そして乳房に異常を感じたら、乳腺専門医の診察を受けることが大切です。
                           (www.ryo-clinic.com › breast_cancerより引用)