女性の更年期障害と同様に、男性にもテストステロン(男性ホルモンの1つ)の減少によって、心身の不調が起こることが近年明らかになってきました。テストステロンの分泌量は20歳代から30歳代をピークとして、加齢とともにだんだん減っていきます。テストステロンの減少によって起こる身体の不調は、女性の更年期障害と原因や症状が似ていることから男性更年期障害〔加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)〕と呼ばれています。
◆ 男性更年期障害ではどんな症状が現れるのか?
男性更年期障害でみられる症状は、精神面に現れるものと、身体面に現れるものの2つに大別できます。主な精神症状は「不安」「イライラ」「気持ちの落ち込み」「集中力・記憶力の低下」「性欲の減退」といったものです。一方、身体症状としては「筋力の低下」「疲れやすさ」「ほてり・発汗」といったものがあります。
◆ 男性更年期障害のセルフチェックについて
男性更年期障害の症状はありふれたものが少なくないため、一時的なものかなと考えてそのままにしている人は珍しくありません。また、いい歳だからあれこれ不調が出るのはしょうがない、とやり過ごしてしまいがちな症状でもあります。そこで、受診の目安になるものとして、医療機関で用いられている「AMSスコア」と呼ばれる質問表があります。
次の17の質問に対して自分の状況を以下の表の5段階に当てはめて点数をつけて下さい。
【AMSスコア】
・総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方)
・関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
・ひどい発汗(思いがけず突然汗が出る、緊張と運動度は関係なくほてる)
・睡眠の悩み(寝付きが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早く疲れがとれない、浅い睡眠、眠れない)
・よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
・いらいらする(当たり散らす、些細なことに直ぐに腹を立てる)
・神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない)
・不安感(パニック状態になる)
・からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味がない、達成感がない、自分をせかさないと何もしない)
・能力の低下
・憂鬱な気分(落ち込み、悲しみ、涙もろい、意欲がわかない、気分のむら、無用感)
・「人生の山はすぎた」と感じる
・力尽きた、どん底にいると感じる
・ひげの伸びが遅くなった
症状 なし 軽い 中等度 重い 非常に重い |
スコア 1点 2点 3点 4点 5点 |
・性的能力の衰え
・早朝勃起の回数の減少
・性欲の低下
合計27点以上の人は男性更年期障害の可能性があるので、医療機関で相談してみてください。一方、スコアが26点以下であった人は可能性が低いと考えてよいですが、心配な症状がある人には受診をお勧めします。なぜなら例えば、「憂鬱な気分(質問11)」はうつ病やパーキンソン病といった病気でもみられますし、「性的能力の衰え(質問15)」はEDや糖尿病でもみられます。
原因が男性更年期障害であればテストステロンの補充を中心とした治療によって改善が期待できます
(Medleyより引用)