憩室炎とは、何らかの原因で憩室とよばれる部分に細菌感染が起こり、腹痛や発熱といった症状が現れることを指します。憩室とは、消化管の壁の一部が内側から外側に向かって袋状に突出したものをいいます。特に大腸に多く、地域などにより差はありますが大腸憩室は非常に一般的なものです。大腸憩室があるというだけで症状が現れることはなく、治療の必要もありませんが、合併症が起こる可能性はあります。憩室があることで起こりうる2大合併症が、この憩室炎と憩室出血(憩室から出血を起こし血便がでること)です。
原因
憩室に便が詰まったりすることをきっかけとして細菌感染が起こり発症します。憩室ができるメカニズムは、大腸の運動異常が起こることで腸管の中の圧力が高くなり、大腸の圧力に弱い部分が外側に突出して袋状の憩室ができると考えられています。食物繊維の摂取が長期間にわたって不足すると、こうした腸の運動異常を起こしやすくなり、憩室ができやすいといわれています。
症状
大腸憩室炎で一番よくみられる症状は腹痛です。また発熱がみられることもあります。腹痛を感じる場所は、憩室炎の起こる場所によって違いますが、右の下腹部の痛みの場合には急性虫垂炎(いわゆる盲腸)と見分ける必要があります。急性虫垂炎と比べると、吐き気や嘔吐が少なく症状が出てから病院を受診するまでの時間が虫垂炎より長いという特徴があります。
治療
憩室炎では、抗菌薬を使用した内科的治療が中心となります。多くは入院のうえで食事を一旦お休みし、点滴を行いながら抗菌薬を7~10日使用します。炎症の程度が軽いものであれば、入院はせずに外来通院で抗菌薬を内服して治療することも可能です。その際には、症状が悪くならないか慎重に経過観察しながら外来再診で確認します。憩室炎は、一度治癒しても再発する可能性があるため、注意が必要です。再発を予防するには食物繊維を十分に摂って便秘を起こさないように気を付けることが適切だといわれていますが、はっきりとその効果が証明されているわけではありません。
(Ⅿedical Note より引用)