2019.03.27

「高齢者の「ゴミ出し支援」拡充へ…玄関先で回収、町会に助成も」

高齢化が進む中、病気や体の衰えによって自力でのゴミ出しが困難な高齢者が増えている。

自宅のゴミを集積場まで運ぶのが難しい高齢者をサポートするため、環境省は、自治体などが高齢者宅まで出向いて回収を行う「ゴミ出し支援」制度の拡充に乗り出す方針を決めた。こうした支援制度のある自治体は2割程度にとどまっており、同省は全国の支援状況を調査した上で、自治体向けのガイドラインを作成。ゴミ出し支援のあり方や先進自治体の事例を全国の自治体に周知し、制度づくりを促す。

国内の全家庭(約5000万世帯)のうち、65歳以上の高齢者世帯は4分の1を占め、その半分近くは高齢の単身者とされる。生活意欲や筋力の低下、認知症などに伴って自力でゴミ出しができなくなり、自宅にゴミがたまる「ゴミ屋敷」が社会問題となっている。

国立環境研究所が全国の自治体に行った2015年調査によると、高齢者のゴミ出し支援制度がある自治体は23%にとどまる。同省の担当課は「高齢化は年々進んでおり、問題はいっそう深刻化している。自治体によるサポート体制は喫緊の課題だ」としている。

同省は現在、全国の自治体で実態調査を行っていて、月内に調査結果をまとめる。例えば、千葉県流山市は清掃業者に委託し、高齢者宅の玄関先でゴミを回収するほか、福島市は市職員が自ら高齢者宅に出向いてゴミを引き取っている。ガイドラインでは、こうした先進的な支援に取り組む自治体の活動内容を盛り込む見通し。

また、「今後、ゴミ出しが困難な住民が増える」と回答した自治体が87%に上った一方、支援制度のない自治体から、人手や予算を確保する難しさが理由として多く挙がっていた。

ゴミ出し支援には、ゴミ回収のために定期的に高齢者宅を訪問することで孤独死を防ぐ狙いもある。栃木県下野市は、事業を委託するシルバー人材センターの会員が高齢者宅の玄関先で声をかけた上でゴミを引き取る。市職員がゴミの回収に出向く福島市では、高齢者に必ず声をかけ、異常があれば、離れて暮らす親族などに連絡する。

国立環境研究所の調査では、ゴミ回収時に高齢者への声かけを行う自治体のうち、高齢者の不調やトラブルを発見した事例がある自治体は4割に上る。室内で倒れていた高齢者を発見して命が助かったり、不審な業者が自宅に上がり込んでいたのを見つけたりしたケースもある。総務省などによると、日本の総人口に占める65歳以上の割合は28%だが、36年には33%に達し、3人に1人が65歳以上になる。今後、支援の必要性は高まっていく一方、将来的には支援の人手不足の問題が待つ。

福島市は、支援がスタートした07年から、利用世帯数は2・5倍の約1000世帯に増えた。市の担当者は「このまま増え続ければ、自治体の職員だけでは手が回らなくなる恐れがある」と指摘する。人手不足に対応するため、民間ボランティアらがゴミ回収を行う動きも出ている。高齢者宅のゴミの回収を地域の町内会やボランティア団体が担う仙台市。市は昨年10月以降、ゴミを回収する団体などに対し、1世帯の回収につき140円を支給する助成金制度を始めた。市家庭ごみ減量課は「担当の市職員が少なく、支援を継続するために地域の力を借りることにした」と説明している。東邦大の岸恵美子教授(公衆衛生看護学)は、「孤独死や、身の回りのことができなくなるなどで心身の健康が脅かされる『セルフネグレクト』を防ぐには、近隣住民を巻き込んで地域全体で支援することが必要。幅広く利用しやすいものにしてほしい」としている。

安中市でもこの4月から不燃ゴミの出し方が変わります。また、ゴミ収集所まで自宅が距離がある方もいると思います。安中市でもこのような活動が進めはいいなと思いました。

 

                        YOMIドクターより引用