2019.3.16
「花粉皮膚炎」
今や現代病となった花粉症。よく知られているのは目や鼻の症状ですが、実は花粉との接触によって皮膚トラブルが起こることもあり、「花粉皮膚炎」とよばれています。日本では、春のスギ花粉をはじめとして、夏のイネ科花粉、秋のブタクサ花粉と1年中何らかの花粉が飛散していますが、やはりスギ花粉の飛散量は多く、皮膚への影響も及びやすいといえます。
スギ花粉皮膚炎の特徴
・春に症状が出て、他の季節には出ない
・風が強く、特にその後に雨が降ったりしたときなどに症状が出やすい
・頬や目の周りなど、蕁麻疹(じんましん)のような赤い湿疹ができる
(アトピー性皮膚炎の方は全身の皮膚症状が悪化する)
・スギ抗原に特異的な抗体(IgE抗体)の値が高い
・アレルギー性の結膜炎や眼瞼炎(がんけんえん)を伴うことが多い
・花粉飛散量と症状の増悪が比例する
花粉皮膚炎を防ぐには
発症や悪化を予防するには、花粉が肌につかないようにすること、家に持ち込まないことです。帰宅したら、家に入る前に服の花粉を払い、洗面所で顔や手を洗いましょう。シャワーを浴びて髪も洗うことができればベストです。なるべく早く花粉やほこりを洗い流しましょう。花粉の飛散時期に肌トラブルがひどくなったりするようであれば、皮膚科を受診するようにしましょう。
また、春は花粉に限らず肌トラブルを引き起こす要因が多い季節です。
季節の変わり目の肌トラブル
- 気温上昇による汗や皮脂の分泌過多:毛穴や汗孔(汗の出口)に汚れが溜まり、炎症を引き起こす
- 紫外線量の増加:光老化や乾燥を引き起こし、炎症を引き起こす
- 新しい環境によるストレス増加:ホルモンのバランスが崩れ、バリア機能の低下をもたらす
角層のバリア機能が損なわれると、ちょっとした刺激にも反応する敏感肌の状態になり、かぶれや痒み、ひりひり感といった肌トラブルを引き起こしてしまいます。肌がデリケートになっているときは、いつもよりやさしく、肌をいたわりながらスキンケアをすることが大切です。低刺激の洗浄剤を用いて余分な皮脂や汚れを洗い流します。肌を清潔に保つことは、健やかな肌状態を維持するうえで、とても大切ですが、洗浄時に肌にとって、必要な保湿成分まで失われないようぬるめのお湯を使い、ゴシゴシ擦らず、十分泡立てて洗浄するのがポイントです。洗浄後は 乾燥を防ぐため、すみやかに保湿を行います。外出時は、紫外線だけではなく刺激物から肌を守るためにも日焼け止めクリームを塗りましょう。あわせて、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを溜めないことも重要です。
花粉と肌の関係 Ⅰ|皮ふ科医に聞く ミニ知識|d プログラムより引用