2019.03.15
「骨粗しょう症」高齢者に多い大腿骨骨折は冬に増える
日本整形外科学会の調査によれば、10月から3月までの冬の期間は、「大腿骨付近の骨折」が4月から9月に比べて約2割増加するそうです。寒さで体が縮こまり普段ならなんでもない場所でも大きな怪我につながりやすいのが要因だとされています。
この部位の骨折の患者の8割が女性とされており、高齢の女性に多いとされています。大腿骨の骨折と並んで高齢女性に多いのが、背骨の圧迫骨折、骨粗しょう症の患者数は、日本国内で約1,280万人。女性の患者はその中、約980万人いるとされています。日本人の10人に1人はこの病気になっているということから、骨粗しょう症は“新国民病”とも呼ばれる病です。日本医師会よれば、日本人女性が骨粗しょう症になっている割合は、50代では7%、60代で30%、70代で37%、80代で42%と、60代を境に急激に上昇します。
女性に比べれば3分の1以下の数ながらも、男性の骨粗しょう症患者も300万人に上るとされています。男性の場合は、喫煙者や糖尿病がある人に症状が顕著だとされています。また、男性は女性よりも体が大きいことから、骨粗しょう症による骨折の危険性がより高く、骨折後も重篤化しやすいというリスクも存在しています。
オーストラリアで行われた調査では、大腿骨頸部を骨折した場合、女性では2.43倍の死亡リスクがあったのに比較して、男性では3.51倍だったことが判明しています。
大腿骨近位部は、骨折をすると歩行が困難になる骨折部位です。そのため、背骨の骨折と股関節部の骨折を起こすと身体機能が低下。再び骨折をして、1~3割が最終的に寝たきりになってしまうなどの「骨折連鎖」とも言うべき事態が起こってしまい、高齢者は「骨折連鎖」によって寿命が平均よりも短くなるなど命にかかわる危険が指摘されています。
大腿骨付近の骨折から術後1年で以前と同じような歩行ができる人は全体の4分の1に過ぎず、半数は介助が必要となると言われています。また、骨粗鬆症財団の発表では、自治体が行っている骨粗しょう症の検診の受診率は、全国平均で5.2%と低迷しており、受診率の低さは、検診に限った話ではありません。日本では1,280万人ほど骨粗しょう症の患者がいるとされていますが、このうち治療を受けているのはわずか300万人程度。8割弱の人々は骨粗しょう症を放置してしまっており、それを原因として、骨折に繋がる状況が生まれているのです。超高齢社会において、骨粗しょう症になりやすい高齢者の増加も確かですが、この病に対しての予防を行っていない問題も影響している部分もあります。
この影響は大腿骨の骨折だけではなく、背骨の強度が下がることで圧迫骨折を起こす、「隠れ骨折」の急増にも表れています。痛みなどの自覚症状がすくないものの、腰痛や身長の縮みなどのサインがあると言われていますが、これらを自覚しても放置したままの人がほとんどで早期の発見や治療が必要だということが十分に認知されていないのです。骨折などによって寝たきり、日常生活に支障が出ないよう、日常から予防に努めることが必要です。検診に参加する、あるいは少しでも異変を感じたら病院に行く、50才以上の女性は、1年に1回程度、骨粗しょう症と診断された患者様は、半年に1回程度こまめなケアを行ったうえで、適切な治療を受けるよう、周囲の心がけも高齢者の骨粗しょう症による骨折を防ぐうえで、重要です。
みんなの介護より引用