2019.03.14
「バレット食道とは」
バレット食道とは、本来は扁平上皮で覆われているはずの食道の粘膜が、胃から連続的に伸びる円柱上皮に置き換わっている状態をいいます。胸やけや呑酸などの症状がみられることがありますが、無症状の方も少なくありません。しかし、バレット食道は食道がんに対してリスクが高い状態です。そのため定期的に内視鏡検査を受け、慎重に経過観察を行う必要があると考えられています。
バレット食道の原因
通常、食道は扁平上皮という粘膜で覆われていますが、逆流性食道炎の治癒過程で胃と同じ円柱上皮という粘膜に置き換わりバレット食道になると考えられています。近年、日本において逆流性食道炎の増加が指摘されていますが、その原因のひとつにピロリ菌の感染率低下が挙げられます。ピロリ菌に感染していると、日本人の場合ほとんどが「萎縮性胃炎」という低酸状態になり、逆流性食道炎の発生には抑制的にはたらくと報告されています。しかし、近年は衛生環境の向上、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発抑制や胃がん発生のリスクを低下させるためにピロリ菌の除菌治療を受けられる方が増えたことが関係し、感染者が減少しています。ピロリ菌に感染していない方は胃酸が保たれていることが多く、ピロリ菌感染者に比べると逆流性食道炎が起こりやすいと考えられています。
バレット食道の検査
内視鏡で診断します。本来は扁平上皮の食道が円柱上皮になっていた場合、内視鏡で容易に診断可能です。さらに生検を行い、円柱上皮や、がんのリスクに関連している腸上皮化生を確認する場合もあります。
バレット食道の治療
積極的にバレット食道の治療を行うのではなく、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの酸分泌抑制薬を内服し、バレット食道の原因である逆流性食道炎の治療を行いながら経過観察を行うのが一般的です。
バレット食道と診断された場合でも過度に心配するのではなく、定期的に内視鏡検査で経過観察を行うことが大切です。
メディカルノートより引用