2018.2.1

なぜ、お酒を飲みすぎてはいけないのか?

◎お酒の問題点
適量のお酒はリラックス効果がありますが、飲酒量がふえると中枢神経の働きが抑制されて心身のコントロールがみだれ、自制心が低下したり体がふらついたりします。アルコールは食欲刺激作用があり、食欲抑制ホルモンのレプチンを抑えるため、空腹感が強まって食べ過ぎる心配があります。もう一つの問題は肝臓への影響です。
◎お酒は肝臓にどんな影響を与えるのか
アルコールを取りすぎると脂肪組織から血液中へ遊離脂肪酸の放出が促進されます。
一方、肝臓ではアルコールの代謝が亢進する分、脂質など他の物質の代謝バランスが崩れ、肝細胞内に中性脂肪(トリグリセリド)が過剰蓄積されるようになります。その結果、アルコール自体の影響で脂肪肝を招き、肝臓のインスリンの感受性が低下して血糖コントロールの悪化につながります。アルコールは他の栄養素に優先して肝臓で代謝され、エネルギー源として利用されます。このため、アルコールを代謝している間は、糖質や脂質など他のエネルギー源の代謝がスムーズに進まずに体内に蓄積され、体重増加や肥満の恐れが強まります。体重増加を気にしておつまみを控え、お酒ばかり飲んでいると今度は低血糖の危機が高まります。なぜならアルコールは肝臓に貯蔵されているグリコーゲンをブドウ糖に分解するのを促す一方、糖質以外からブドウ糖を合成する糖新生の働きを妨げるため、いったん肝臓のグリコーゲンが枯渇すると血糖の補充が間に合わずに低血糖を起こしやすくなるのです。また通常のアルコール代謝ではビタミンB1
は使われませんが飲酒量が増えるとアルコールの分解過程でビタミンB1が必要となり、栄養素の代謝との間でビタミンB1の取り合いが生じて栄養吸収に支障をきたす場合があります。ビタミンB1は体内で合成できないためお酒と一緒に豆腐や、枝豆、などのカロリーが少なくビタミンB1が豊富なおつまみをお勧めします。
ビールや日本酒、ワインなどは糖質を含んでいてアルコール自体のカロリーは以下の計算式で出します。アルコール度数(%)×0.8×お酒の量(ml)×7Kcal 基本的にお酒を飲んだ分のカロリーは、食事の量を減らすなどして調整する必要があります。
糖質を含まない焼酎やウイスキーなどの蒸留酒なら血糖値は上がらないという話を耳にしますが、お酒自体には糖質が含まれていなくても、肝臓への作用によって血糖値が上がったり下がったりする可能性がありますからどんな種類のお酒でも適量を守ることが大切です。
特にお酒に注意が必要なのは、糖尿病の人、血糖コントロールが悪い人、飲むと自制が効かない人、などはお酒のデメリットを考慮して禁酒を勧めます。
食事やお酒を美味しく味わうには好きなものや、美味しいものを追い求めるだけでなく
自分の体調を整えることも大切にしましょう。

参考資料・愛媛大学医学部附属病院栄養部部長・利光久美子 著より