2019.01.08
「更年期障害について」
女性の更年期とは、閉経を挟んだ10年間を指します。平均的な閉経年齢は50歳前後ですが、人によって閉経年齢が違うので、女性の更年期は40~60歳とされています。更年期障害の大きな原因は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの分泌量の大幅な低下と変動です。
40歳ごろを境にエストロゲンの分泌量は低下していきます。それに伴って月経周期が乱れ、やがて閉経を迎えます。
更年期症状は、ほてりや発汗、冷え、肩こり、動悸、頭痛、物忘れ、考えがまとまらない、気分の落ち込み、不眠、イライラなど、実にさまざまです。また、更年期症状の現れ方には個人差があり、重症化して起きるのもつらい状態になる人がいる一方で、症状が出ないまま更年期が過ぎていく人もいます。 更年期は、子どもの独立、夫の定年、親の介護、社会からの孤立、親や夫との死別など、女性を取り巻く環境が大きく変わる時期でもあります。環境の変化や人間関係でのストレスがきっかけになる場合もあります。
更年期障害を疑う症状が現れたら、我慢せず婦人科の更年期外来や女性外来などを受診しましょう。
更年期障害の診断には、本人の自覚症状に対する問診が重要です。
問診では、いつごろからどのような症状が現れたのかを詳しく聞くとともに、月経の状況、人間関係や仕事でのストレスなど、体や心の状態も確認します。 血液検査では、女性ホルモンの量を調べます。さらに更年期障害以外の病気がないかを調べます。
生活環境の見直し
更年期障害と診断されたら、まず生活環境の見直しを行います。ポイントは、十分な睡眠、運動、情報を統一化、がんばらない、仲間との会話の5つです。
睡眠不足は症状を重くします。体がほてって寝つきが悪い人は、氷枕などを利用すると寝つきがよくなる場合があります。
寝る直前にお風呂に入ると体がほてるので、寝る2時間前までに入浴を済ませるようにしましょう。
夜、カフェインを含む飲み物をとると睡眠の妨げになります。午後以降、特に夜はカフェインを含まない飲み物にするとよいでしょう。
運動で血行が良くなると、更年期症状の緩和が期待できます。楽しみながら続けられる運動を選びましょう。
更年期には、数日前のことも忘れてしまうことがあります。そこで、スケジュールや家庭の用事、体調、簡単な日記などを、すべて一つの手帳にまとめます。そうすると、行動のつながりを思い出しやすくなり、次に何をするかを考えられるようになって、イライラが減ります。
生活に支障を来す重い症状がある場合は、ホルモン補充療法を行います。不足しているエストロゲンなどの女性ホルモンを少し補うことで症状を緩和します。補充療法を5年以上続けると、乳がんが発生する可能性が高まりますが、5年未満ならその問題はないと考えられています。 また、症状の緩和に、漢方薬の当帰芍薬散[とうきしゃくやくさん]、加味逍遙散[かみしょうようさん]、桂枝茯苓丸[けいしぶくりょうがん]を使うことがあります。 さらに、うつや不安症状が強い場合などには、抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬を使うこともあります。抗うつ薬には、のぼせや発汗などの軽減を期待できるものもあります。
引用 NHK 健康チャンネル