2018.10.06
「手あれについて」
手あれは手の湿疹で、手の表面についた物質の刺激やアレルギーでおきる皮膚炎です。原因の明らかな場合は接触皮膚炎、複合的な原因でおきた時には手湿疹と診断されます。主にかゆみと発赤がおきるアレルギー性タイプと、主に皮膚の乾燥とひびわれで痛みを生ずる非アレルギータイプとがありますが、実際には両方がまじった混合型が多いのです。
非アレルギータイプは種々の環境因子の影響をうけますが、界面活性剤(合成洗剤、シャンプー、ハンドソープ、石けん)との接触が最大の原因となります。手の洗いすぎも影響があります。アレルギータイプは職業と関係することも多く、美容師の毛染め、香料のかぶれ、医療介護関係のゴム、ラテックス、消毒薬などのかぶれがみられます。家庭では、ゴム手袋、金属類のかぶれが多くみられます。
手は色々な刺激物質に触れますが、健康な皮膚は外界の刺激に対して、ある程度の防御機能をもっています。皮脂膜と角層がバリアーとしてその役割を果たしているのです。合成洗剤、シャンプー、ハンドソープ、石けんなどの界面活性剤の使用は皮脂膜を流してしまいます。皮脂膜の再生には6時間要しますが、手のひらには皮脂膜がないので、皮脂膜再生にはより長い時間がかかります。皮脂膜の破壊により角層は障害され、バリア障害のため角層の水分は減少して、乾燥とひびわれがおこります。湿度の低い冬には更に症状が悪化しやすくなります。皮膚のバリアーが壊れると今まで何ともなかった物質にも刺激反応やアレルギー反応をおこしやすくなります。
予防:食器洗いの時と濡れた洗濯物を干す時には必ずビニール手袋をしましょう。薄い木綿の手袋をして、その上からビニール手袋をはめる手袋の二重着用は手湿疹の予防に有用です。天然ゴムからできたゴム手袋には、ラテックスという成分があり、かぶれを起こすたけでなく、全身のアレルギー反応もおこすことがあるのでお推めしません。塩化ビニールの手袋の方が安全です。手の接触皮膚炎として原因がわかっている場合には、原因物質に少しでも触れないようにして下さい。水仕事のあとや入浴後には水気をよくふき取ってからハンドクリームなどを塗って手の皮膚を保護して下さい。ハンドクリームなどを使用しても手あれが治らない時は、早めに受診しましょう。
日本臨床皮膚科学会より引用