2018.06.22
「毛虫皮膚炎」
初夏の訪れとともに、子どもは外遊び、大人はガーデニングやハイキングなど、屋外での活動が多くなりますが、それにあわせるように、皮膚に有害な虫も、活発に活動するようになります。この時期に一致して、毛虫による皮膚炎が発生します。毛虫皮膚炎は大きく分けると、からだをおおっているたくさんの毛に毒がある「毒針毛(どくしんもう)型」と、からだの表面にするどいトゲがある「毒棘(どくきょく)型」の2つのタイプがあり、毒針毛型ではかゆくて赤い発疹がたくさん出るのが特徴で、毒棘型ではトゲが刺さったところに強い痛みを感じるのが特徴です。毒針毛を持つ毛虫の代表はドクガの仲間など多くの種類があります。毒棘を持つ毛虫の代表はイラガの仲間などです。
毛虫皮膚炎でもっとも被害が多いのは、ドクガの仲間の毛虫による皮膚炎です。チャドクガは、関東地方では5月から6月と8月から9月の年に2回、卵からかえって毛虫になります。1匹の毛虫には何10万本もの毒針毛があり、それにふれたところにたくさんの赤い発疹が出てきて、強い痒みを起こします。部位的には、首のまわりや腕などの、衣類でおおわれていなかった場所に出ることが多いのですが、襟や袖から毛虫が中に入ってしまったり、洗濯物に毛虫がついたりすると、衣類でかくれている場所にも発疹が出てきます。なお、毛虫は1ヶ月ほどでガになりますが、このガの羽にも毒針毛が残っていますので、同じように赤い発疹が出てきます。
発疹は毒針毛が接触してから数時間で出てくるようです。明らかに毛虫に触れてしまったと気がついたら、まず、ガムテープをペタペタと当てて、毒針毛をはがしとって下さい。そしてシャワーで流してください。かゆい発疹がたくさん出てしまっても、ステロイド軟膏の外用を中心とする治療を行えば1週間以内に痒みはよくなりますので、早めに受診しましょう。
日本臨床皮膚科医会より引用