2018.06.02
「小児・若年層のがん種類順位初公表」
国立がん研究センターは先月30日、0~14歳の小児と15~39歳の思春期・若年成人を指す「AYA世代」でのがんの罹患(りかん)状況を公表した。最も患者数が多いがんは、0~19歳では白血病、20代は精巣がんや卵巣がんなどの胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、30代は女性乳がんだった。AYA世代のがんに関する詳しい調査は初めてという。
今回の調査では、各都道府県で集計した2009~11年の「地域がん登録」の診断例データを使用。一定の精度を満たした27府県分を分析した。07年には地域がん登録をもとに小児がんの罹患率のみを公表していたが、データの対象地域は15府県分だった。今回はより多くの地域をカバーした上、AYA世代までのがんの罹患率と種類別の内訳を初めて示した。
罹患率では小児が人口10万人あたり12.3例、15~19歳では同14.2例、20代は同31.1例、30代は同91.1例だった。この罹患率を日本全体の人口に当てはめて1年間にがんと診断される症例数を推計すると、小児が約2100例、15~19歳が約900例、20代で約4200例、30代が約1万6300例に上る。
国立がん研究センターによると、罹患率は07年の調査に比べ全体的に高くなった。同年にがん治療の地域拠点となる「がん診療連携拠点病院」が全国で指定され、「がん登録の精度が向上したことが大きい」(同センター)という。
年代別に患ったがんの種類をみると、小児では白血病(38%)が最多で、次いで脳腫瘍(16%)。15~19歳でも白血病(24%)が一番多く、精巣がんや卵巣がんなど胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(17%)が続いた。
20代では胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(16%)が首位で甲状腺がん(12%)も目立った。30代は女性乳がん(22%)が最多で、2位は子宮頸(けい)がん(13%)となった。小児では血液関連のがんが多く、年を取るにつれ、体の表面や臓器を覆う上皮性の細胞のがんが目立つ傾向となった。
同センターは「今回の調査結果をAYA世代に関する医療の需要予測に活用してもらい、がん診療や治療体制の整備が進むきっかけになれば」と話している
日本経済新聞より引用