2018.05.19

「沖縄での麻疹(はしか)の流行 ~なぜ流行は繰り返されるのか?~ 」

日本の麻疹は、2015年3月27日から「排除状態」となっています。排除されているはずの麻疹・・・それなのに、どうして流行が繰り返されているのでしょうか?
麻疹は、ワクチンの定期接種を推進したことで、麻疹に対する免疫をもっている人は増えました。しかし、まだ免疫をもっていない人も多く残っています。今は、ワクチンの定期予防接種を2回受けることになっています。しかし、定期接種になる昭和52年(1977年)より前に生まれた人、そして定期接種となっても1回接種のみだった人の中に、十分な免疫をもっていない人が多く残っています。また妊婦や免疫不全者などのワクチンを接種できない人もいます。このようなことから、たった1人の麻疹患者から、感染が拡大してしまうということが起こってしまうのです。
麻疹は「空気感染」する非常に感染力の強いウイルス感染症です。同じ部屋の中にいるだけでも感染する可能性があります。10〜12日程度の潜伏期間を経て、麻疹を発症した初期には、鼻水、喉の痛み、咳などの、風邪のようなごく軽い症状だけの時期があります。このため、本人も自覚のないまま、他の人に感染を広げていってしまいます。麻疹には、発症してから直接ウイルスを抑えられるような治療薬がありません。そして、重症化すると肺炎や脳炎などを起こす可能性があります。さらに、妊婦が感染してしまうと、早産や死産の原因となることがあります。
麻疹においては「かからないことが最善の策」です。そのためには、ワクチン接種によって麻疹に対する免疫をつくっておくことが必要です。また、ワクチンを2回接種しても、十分な免疫がつかない人も数%います。しかし、このような人が麻疹を発症しても、その多くは「修飾麻疹」という、通常の麻疹と比べて軽い症状だけで終わることがほとんどです。そして最近の知見では、この修飾麻疹においては、他の人への感染力も低くなることが示されています。
流行を繰り返さないために、ワクチン未接種や1回接種のみだという方は、ワクチン接種を検討してください。また、海外へ渡航する予定の方は、もしも「麻疹にかかったことがなく、ワクチンを接種していないか接種歴不明」という場合には、渡航前に予防接種を受けておくことをおすすめします。麻疹の流行を繰り返さないためには、社会の中で「流行しにくい環境」をつくっておくことが大切なのです。
※現在は麻疹ワクチン、麻疹・風疹混合ワクチンとも品薄状態となり入手困難な状況です。流行が鎮静化したらご相談してくいださい。

https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/hashika-kikenより引用