2018.2.23
「DNAR (do not attempt resuscitation)」
心肺停止した人を発見した場合、医療従事者は心肺蘇生法を実施します。しかし、死が差し迫っており、かつ心肺蘇生法を開始してもその効果がほとんどないと考えられる方が心肺停止した場合には、心肺蘇生法を実施しないことがあります。この「心肺蘇生法を実施しないこと」を医療現場ではDNAR(Do Not Attempt Resuscitation)といいます。患者本人または患者の利益にかかわる代理者の意思決定をうけて心肺蘇生法をおこなわないこと。ただし,患者ないし代理者へのinformed consentと社会的な患者の医療拒否権の保障が前提となります。欧米では実施のためのガイドラインも公表されています。1995年日本救急医学会救命救急法検討委員会から「DNRとは尊厳死の概念に相通じるもので,癌の末期,老衰,救命の可能性がない患者などで,本人または家族の希望で心肺蘇生法(CPR)をおこなわないこと」,「これに基づいて医師が指示する場合をDNR指示(do not resuscitation order)という」との定義が示されています。しかし,わが国の実情はいまだ患者の医療拒否権について明確な社会合意が形成されたとはいい難く,またDNR実施のガイドラインも公的な発表はなされていません。DNRが蘇生する可能性が高いのに蘇生治療は施行しないとの印象を持たれ易いとの考えから,attemptを加え,蘇生に成功することがそう多くない中で、蘇生のための処置を試みない用語としてDNARが使用されています。
患者様の病状と、推測される今後遠くない時期に心肺停止に至る可能性が高いと判断し経過について説明し、心肺蘇生に関する患者様のご意向を確認しておく必要があります。
病床生活を送っている方だけでなく、健康な生活を過ごしている場合でも、どのような状況で心肺停止状態になるかわかりかせん。自分自身意向を大切な人たちに伝えておく必要があると思いました。
DNAR 日本救急医学会・医学用語解説集より引用