2018.02.06
「冠攣縮性狭心症とは」
1日に約10万回拍動する心臓は、表面をとりまく冠動脈から大量の酸素を得ています。冠動脈の内側にコレステロールがたまって狭くなり、酸素不足から胸が痛くなるのが狭心症です。階段を上がるなどの動作をした時に胸の痛みが生じる労作性狭心症が代表的ですが、その他安静時に起こる狭心症もあり、そのほとんどが冠攣縮性狭心症です。これは冠動脈が痙攣し、一時的に細くなって生じます。心臓に負荷がかかっていないときにも起こる狭心症で、喫煙、睡眠不足、精神的ストレス、大量飲酒の翌朝、寒冷刺激などが誘因となります。明け方寝ている時に胸が痛むのが特徴です。
原因は血管の内側の内皮細胞の異常です。睡眠時には副交感神経の働きが活発になり、冠動脈も広がるのですが、内皮細胞が障害されていると逆に収縮されてしまいます。動脈硬化が原因の労作性狭心症のように血管内が細くなっているわけではないので、血管を拡張する手術はしません。血管の収縮を抑えるカルシウム拮抗薬を使います。ただし、発症は体質的な要素もあるので、薬は飲み続ける必要があります。心筋梗塞など命に関わる病気につながることもあるので、きちんと治療しましょう。
胸の痛みは、胃潰瘍など心臓以外の病気でも生じるので、検査による鑑別が重要です。発作時の心電図がとれるとよいのですが、入院して冠攣縮を誘発する検査で診断する方法もあります。明け方の胸の痛みが頻繁にあるようなら、医療機関を受診してください。また、たばこは血管を収縮されて冠痙攣を起こすので、禁煙は必須です。
(毎日新聞引用)