2018.01.25

「注射剤でアナフィラキシー死、2年で12件 造影剤など」

全身にアレルギー症状が起きる「アナフィラキシー」を、注射剤によって発症し、死亡したとみられる報告が、昨秋までの2年間に12件あったことがわかった。予期せぬ患者の死亡事故を調べる医療事故調査制度に基づき、日本医療安全調査機構が分析し、18日に発表した。
昨年9月までの2年間の12件のうち10件は、注射中か注射開始から5分以内に呼吸の乱れや吐き気などの症状が出ていた。アナフィラキシーの初期対応として、日本アレルギー学会が指針で示すアドレナリンの筋肉注射をしたのは1件だけだった。 原因となったのは、造影剤4件、抗菌薬4件、筋弛緩薬2件。造影剤の4件は、いずれも過去に使用経験があった。機構はこうした薬剤を使う際は、最低5分は観察▽アナフィラキシーを疑ったらアドレナリンの筋肉注射をする▽過去に複数回使い安全だった薬でも起きると認識する――などの提言をまとめた。
機構によると、2016年までの10年間のアナフィラキシーショックによる死者は595人。原因は医薬品263人、ハチ185人、食べ物28人。心停止や呼吸停止に至る時間はハチは約15分、食べ物30分に対し、薬剤は5分と短い。

アドレナリン注射液
救急カート内 ボスミン注1㎎
アドレナリンとして、通常成人1回0.2~1mg(0.2~1mL)を皮下注射又は筋肉内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。蘇生などの緊急時には、アドレナリンとして、通常成人1回0.25mg(0.25mL)を超えない量を生理食塩液などで希釈し、できるだけゆっくりと静注する。なお、必要があれば5~15分ごとにくりかえす。

朝日新聞デジタル 日本アレルギー学会公式サイトより引用