2017.11.13

「冬の怖い“ヒートショック”」

寒い冬場は例年入浴中の急死が多く報告されていますが、その数は年間約1万7000人と推定されています(東京都健康長寿医療センター調べ)。暖房で暖かい部屋と、暖房のない廊下・浴室・トイレでは、温度差が10℃近くになることも稀ではないため、注意が必要です。こうした温度差が、急激な血圧や脈拍の変動を引き起こし、身体に影響を及ぼすことを「ヒートショック」といいます。この身体反応は心筋梗塞や脳出血、脳梗塞などによる突然死を引き起こす要因にもつながります。外気温が低くなる12月から1月にかけ急激に増加し、もっとも少ない8月のおよそ11倍となります。

ヒートショックで起こっていること(入浴の例)
1.寒い脱衣所で衣服を脱ぐことで、体から熱が奪われないよう血管は収縮し、血圧が上昇↑
2.浴槽に入った瞬間も、温熱刺激で一時的に血圧が上昇↑
3.身体が温まり始めると血管は拡張し、血圧は下降↓
4.入浴後、寒い脱衣所に戻ることで再び血管が収縮し、血圧が上昇↑
→体全体が露出されるのは入浴時であるため、ヒートショックによる突然死は、圧倒的にお風呂場・脱衣所が多いのです。
ヒートショックの影響を受けやすい人
・年齢:65歳以上
・持病:動脈硬化が進行(狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞の既往がある)、肥満高血圧、糖尿病、不整脈
・入浴の習慣:一番風呂に入ることが多い、飲酒後の入浴、熱めのお風呂で長湯するのが好き
・居住:浴室・脱衣所が極端に寒い(寒くても、暖房器具がない)
予防策
・入浴前に脱衣所を暖めておき、温度差をなくす
・浴槽のフタを開けたり、予め温かいシャワーをまくなどして浴室内を暖める
・浴槽に入る前に、手足などの末梢から掛け湯をし、少しずつ体を温める
・入浴時間はほんのり汗ばむ程度にする
・湯船から出る際は、急に立ち上がらずゆっくりと出る
・飲酒後の入浴は避ける

 
健康な方でも、こうした温度差においては血圧が激しく変動しやすいため、これか
ら寒い時期の入浴は温度管理に十分気をつけましょう。

産業保健新聞より引用