2017.10.30
「正しい食用油脂の摂り方「植物油」偏重は要注意」
私たちの食生活に「油(食用油脂)」は欠かせません。どんな油を摂ればよいのでしょうか。植物油を摂れば安心というわけではありません。油の種類と特性の違いを理解して摂ることが大切です。
◇飽和脂肪酸に注意
油の成分である脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。飽和脂肪酸の最も身近なものは、肉類や乳製品などに含まれるパルミチン酸です。不飽和脂肪酸には一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があり、一価不飽和脂肪酸の代表格がオリーブ油や菜種油などに含まれるオレイン酸です。
多価不飽和脂肪酸はさらにオメガ3系とオメガ6系に分かれます。オメガ3系にはエゴマ油やアマニ油などに含まれる植物由来のαリノレン酸、青魚などに含まれる動物由来のEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)があり、オメガ6系には大豆油、ゴマ油などに含まれるリノール酸があります。
飽和脂肪酸の摂り過ぎは禁物で、飽和脂肪酸の摂取量が多いほど心筋梗塞が増えるという研究結果もあります。脂質を含む食品は重要なたんぱく源で、体の抵抗力にも関わるため極端に減らすのは危険ですが、摂取する飽和脂肪酸の一部を一価不飽和脂肪酸に置き換えると、悪玉コレステロールが減るというデータもあります。
「植物油は体に良い」とされていますが、実はそうとばかりも言えません。レトルト食品や総菜、コンビニエンスストアのスイーツなどに使用される植物油のパーム油には飽和脂肪酸のパルミチン酸が多く含まれるので摂り過ぎに注意が必要です。
まずは飽和脂肪酸を抑え、多価不飽和脂肪酸を摂取することです。ただし、多価不飽和脂肪酸のリノール酸は悪玉コレステロールを減らし、生理機能を保つ物質に変化して免疫力をアップさせる働きがある一方で、摂取し過ぎると善玉コレステロールも減らし、過剰な炎症反応を起こして生活習慣病につながる恐れがあります。
リノール酸は大抵の食用油に含まれているので、炎症を抑える効果があるαリノレン酸やEPA、DHAを積極的に摂ると良いです。また、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸にも悪玉コレステロールを減らす効果があります。
オレイン酸を含む植物油をベースに、料理によっては香り付けなどでゴマ油を利用し、健康に効果的なEPAやDHAを含む青魚を食べるとよいでしょう。
時事メディカル引用