2017.10.11

「心のケア専門外来」

今日は、身近な人を亡くされた方の心のケアについて書かれた記事を紹介します。記事を読んで初めて、遺族の心のケア専門の外来があることと、専門外来のニーズがあることを知りました。
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【女性セブン2017年10月5日号 より抜粋】
「5年前に大腸がんで主人を亡くしてから、“別の病院に連れて行けば”“最後に食べたがっていたうなぎを食べさせていれば”などと後悔が頭を巡り、家に閉じこもるようになりました。先日、法事で親戚が集まった折、妹から“もう5年も経つんだから、いい加減前を向きなさいよ”と言われました。ショックでした。周りから見たら5年は長いのかもしれませんが、私には主人の死はつい最近のように感じられます。前を向かなきゃとも思いますが、どうしてもそういう気になれないのです」 こう語るのは、72才の主婦Kさんだ。
愛する人の死ほど胸が張り裂けることはない。特に日本人の死因1位のがんは、宣告時から死を意識させ、闘病中はもちろん、死後数年経っても出口のない悲しみが続く。
妻のがんが発覚したHさん(73才)は、手遅れとわかってから引きこもり、ついには首を吊った。  4年前に8才の息子を脳腫瘍で亡くしたIさん(38才)は、明るくふるまっていても、「小6のお子さんがいますよね」などと通信教育の勧誘を受けるたび、胸が締めつけられるという。
「大切な人を失うと誰しも、思慕の念・疎外感・うつという喪失感に絡む気持ちと、前向きにがんばろうという現実的な気持ちが出てきます」と、自治医科大学看護学部の宮林教授は指摘する。「死別の悲しみは、配偶者を亡くした人で平均4年半、高齢の場合や子供を亡くした人で5年程度続きます。短期間で無理に忘れようとする必要はありません」と続ける。問題は、「悲しみが4~5年経っても癒えないのは当然」という認識が広まっておらず、周りからの間違った励ましで傷を深めること。遺された人は悩みを話す場もなく、絶望に追いやられてきたのだ。
喪失感に苦しむ人々の声を受けて、約10年前から登場し始めたのが、「遺族外来」と「家族ケア外来」だ。ともにがんで闘病中の患者の家族や遺族のケアをしてくれる。「死別は人生最大のストレスであり、遺族は心血管疾患による死亡率やうつ病罹患率が高い。時に投薬が必要になるほどです」とは、埼玉医科大学国際医療センター「遺族外来」の大西医師。国立がん研究センター中央病院「家族ケア外来」の加藤医師も「後悔している人の誤解を解き、感情を口にしてもらうことが必要なんです」と続ける。
悲しくてつらい場合、前出の専門外来や、がん拠点病院の精神腫瘍医、がん相談センター、精神科や心療内科でも相談できる。 悲しみは、放っておいても癒えない。我慢せずに話せる相手を見つけることが大切なのだ。