2017.09.06

「防災の日」

 

9月1日は、防災の日でした。阪神大震災や東日本大震災があって記憶が薄れているようにも思いますが、関東大震災がこの日に起きたことと、台風シーズンを迎える時期でもあることから、制定されました。
大規模な地震が発生した際、避難所が出来て、救援物資が到着し食料が配られる……というイメージを何となく抱きがちですが、現実には、「自分の身はまず自分で守る」のが基本。自治体は住民全員分の備蓄ではなく、各家庭がある程度の備蓄をしている前提で、自宅を失うなどでやむなく避難所に身を寄せる人数を予測し、それに合わせた準備をしています。それでも、計画通りの食品を備えている自治体は、2割にも満たないという調査結果もあります。
震災時、さしあたって命が無事で自宅も大丈夫だったら、避難所ではなく自宅で生活することになります。その際に自分の蓄えがないと、水や食べ物が口にできない、という事態は十分考えられます。
私たちはどれだけ、何を蓄えておけばいいのでしょうか。「1週間分の水と食料を」と話すのは、国立健康・栄養研究所食事摂取基準研究室の笠岡室長。飲料水は、1人1日1リットルが目安。調理などに使う水も含めると3リットルあると安心。食品は好きなもの、普段食べ慣れたものを中心に、栄養バランスも考慮しながら幅広くそろえておくとよいとのこと。「不安も多く落ち着かない災害時には、食べたことがないものを食べようという気にはならないものです」。好物を多めに買って、食べながら買い足すローリングストックの発想が役に立ちます。
具体的な備蓄品目やそろえる方法については、様々な参考になるガイドがあります。例えば農林水産省は緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイドを作り、食品のリストや備蓄の取り組み方を解説しています。
笠岡さんらは、東日本大震災から1カ月後に宮城県気仙沼市の全避難所をめぐり、状況を調べました。そこで明らかになったのは、食料が足りず、量は足りても偏りがあったこと。やっと食料が届いても、おにぎり、パンなどの炭水化物中心で、たんぱく質や野菜が不足していました。
災害時には健康な人でも生活に大変な苦労が生じますが、赤ちゃんや妊娠中の女性、高齢者、病気の人、障害者はさらに弱い立場になります。粉ミルク、アレルギー対応食品、流動食などは行政の備蓄もごくわずか。普段、普通の食品が食べられない人ほど、しっかりとなるべく長い期間の備蓄をした方がいいそうです。

今の蓄えで1週間生き延びられるでしょうか?食糧、水、カセットコンロなどが必要な分あるでしょうか?この機会に改めて備えについて考え直す必要があると思いました。

 

朝日新聞より