2017.7.12
「甲状腺の病気」 監修:昭和大学横浜北病院
甲状腺は「のどぼとけ」の下にある小さな臓器(約500円玉2個)ほどで蝶が羽を広げた様な形をしています。甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を活発にする役目を担っています。甲状腺ホルモンはトリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)から成ります。
甲状腺は「脳下垂体」の制御を受けます。脳下垂体は指先ほどの大きさで頭蓋骨のほぼ中央に位置し、様々なホルモンを分泌し体中も各機能を制御しています。「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」は甲状腺ホルモン(T3、T4)の分泌をコントロールしています。
正常なコントロールは次の様な機序になります。
(T3、T4が足りないと脳下垂体からTSH分泌が増えT3、T4を増やます)
(T3、T4が多すぎると脳下垂体からTSH分泌を抑えT3、T4は減少します)
甲状腺の病気と症状
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過激分泌される病気で約8割がバセドウ病で20~30代の若い女性に多い自己免疫疾患(甲状腺にあるTSH受容体を自分自身で攻撃してT3、T4を過激に量産する)
・暑がりで汗を沢山かく・脈拍が速くドキドキする・落ち着きがなくイライラする
・指先が細かく震える
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンが不足する病気でもっとも多いのが橋本病で40代以上の女性に多く数十年かけてゆっくり発症する自己免疫障害(甲状腺の炎症が原因で甲状腺機能低下させる)
・元気がなく・寒がり・脈が遅い・動作が緩慢・肌が乾燥・食欲が無いのに体重増加
・便秘・体がだるく・顔や手がむくむ
甲状腺の検査
超音波検査では甲状腺腫大や血流量、実質の形態に異常を認めます。
血中ではT3、T4の9割が蛋白質と結合しています。残り1割は蛋白質と遊離したFreeT3、FreeT4で蛋白濃度変化に依存せず実際の甲状腺機能を反映します。また、TSHも甲状腺ホルモン量を良く相関するため治療効果、再発の予知として測定されます。
甲状腺の治療(生活リズムを規則正しく、過労やストレスをためないことが一番)
バセドウ病の治療
・内科的治療:抗甲状腺剤で甲状腺ホルモンを抑制して、二か月ほどで甲状腺機能が正常化して症状も軽減します。
・外科的治療:甲状腺は大きく腫れ、薬で治療できない場合は手術で一部を切り取る。
・放射線治療:放射線を含むヨードを飲む事により、甲状腺を破壊して機能低下させる。
橋本病の治療
・甲状腺ホルモン低下による症状が現れたら甲状腺ホルモン剤を内服する。