2017.6.28
「水虫最前線」
足白癬、いわゆる水虫を持っている人は16.7%、爪白癬、爪水虫は9.2%で、日本人の4~5人に1人は「水虫」持ちだといわれています。今世紀に入ると、国際大会で活躍する柔道や格闘技の選手の間で南米産水虫の集団発生も報告され、感染源が広がっています。最近は若い女性にも増えているらしく、ドラッグストアの水虫薬売り場には女性を意識したパッケージがずらりと並ぶ。医療用医薬品から有効成分を転用したスイッチOTCなど、バラエティに富んだ剤型と抗菌力プラスαを売りにした高機能の治療薬が注目です
「高温多湿」「アルカリ性」を好む輸入水虫に注意
水虫は白癬菌というカビ(真菌)の一種が皮膚の角質層に寄生することで生じます。病気の原因となる真菌のなかではもっとも感染力が強く、皮膚表面のどこにでも感染するが、白癬菌にとって居心地がいい「高温多湿」の足で繁殖することが多いです。汗や汚れが残ったアルカリ性の皮膚は白癬菌が好む環境なので、手のように1日に何回も洗えない足は白癬菌の楽園と化してしまいます。最近は女性も1日中靴やストッキンングを履いているので、患者が増えてきました。
水虫を起こす白癬菌は主に3種類に限られていましたが、今世紀に入り運動選手、特に国際大会で活躍する柔道や格闘技の選手の間で南アメリカに生息している種類の白癬菌による水虫の集団発生が報告されるようになっています。
それが輸入水虫菌で、その名も「トリコフィトン・トンズランス」。患部は頭や顔、あごや首など肌が直接、相手と接触する部分がほとんどです。海外遠征組から一般にも広がっているため、2012年に中学校で武道を必修化した文部科学省は、学校で予防すべき感染症の解説書に「白癬感染症、特にトンズランス感染症」と名指して対策と予防法を記載しています。また、公益財団法人全日本柔道連盟が予防法を公開しているので、参考にしていただきたいと思います。
①体部白癬 発疹は柔道着で擦れる顔、首、上半身に多く認められ、小豆大~爪甲(いわゆる爪)大の鱗屑(角層がフケのようにはがれ掛かった状態)を伴う紅斑(ピンク色)となります。治ってくると環状となり、自然に症状が無くなるケースもあります。主に塗り薬での治療となります。
②頭部白癬 フケやかさぶたができる程度の軽い症状から、頭皮から膿みが出て脱毛を生じる症状まであります。特に低年齢層の患者が重症になり易く、注意が必要です。症状が無くても菌が毛穴の中に入ってしまうと、友人や家族間での感染源になります。飲み薬での治療となります。
T.tonsurans菌の感染経路は、そのほとんどが、体の接触が原因とされていますが、その他には、衣類やタオル、寝具類を共有することからの感染も考えられます。集団感染を防止するには、自分の身体や道場、部屋などをいつも清潔に保ちましょう。
これから、水虫にかかる方が多くなる時期です。今年はぜひ注意していきましょう。
水虫治療最前線より引用