2017.4.8
「花祭り」
今日、4月8日は「花祭り」です。私には幼少の頃からとてもなじみ深い行事でしたが、あまりピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。桜が印象的な春のこの時期に行われますが、何かの花を愛でる行事ではありません。
「花祭り」は、お釈迦様の誕生日を祝う行事です。本来は灌仏会(かんぶつえ)という仏教行事で、呼び名が花祭りに変わったのは、明治以降だといわれています。お花で飾られたお堂「花御堂」に祀られたお釈迦様に、ひしゃくで「甘茶」をそそいで拝み、お祝いします。
この「甘茶」とは、その名前から、砂糖入りのお茶を想像される方もいるかもしれませんが、そうではなく、ユキノシタ科アジサイ属のアマチャという植物の葉からつくられています。カロリーゼロですが、名前の通り味は甘いお茶です。砂糖の500倍ほどの甘さがあるといわれており、糖尿病の方のための砂糖代わりとして使われることもあるようです。
そもそも、何故甘茶をかけてお祝いするのでしょうか。2500年前、お釈迦様が誕生したとき、空から9匹の龍が「甘露」という甘い雨を降らせて喜んだといわれています。その雨はお釈迦様の産湯として使われたという説もあります。この再現をするため、お釈迦様の頭から甘茶をかけているのです。
さて、お釈迦様は、生まれてすぐに七歩歩き、右手は天、左手は地を指して 「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」と言われたと伝えられています。
天上天下=この大宇宙で
唯我独尊=唯、我 独り 尊い と言う意味です。
この言葉は、ときに「この世で一番偉くて尊いのは、ただ私一人」と言う意味に誤解され、『自己中心』とか『傍若無人』と同じ意味で使われてしまうこともあります。しかし、本来の意味は、『この世界において 私たちひとりひとりは唯一無二の存在である だから尊いのだ』『だれも自分が特別なわけではなく、皆が平等に特別であり尊い存在なのだ』ということです。、
人間の命の尊さは、能力、学歴、地位、名誉、財産などの有無を超えて、そのままで尊いものなのです。この言葉の真意を知り、この世に唯一無二のかけがえのない自分という存在がオンリ-ワンだということに目覚めれば、他人と比較して劣等感におちいったり、他人より優れたものがあったからといっておごり高ぶったりするものではない、ということに気づくはずです。
花祭りは、お釈迦様の誕生を祝うだけでなく、一人一人がかけがえのないいのちを生きていることを自覚する日 でもあるというのを 心のどこかに留めていただければ幸いです。
参考記事: 「気になる事、知識の泉」より「 花祭りでお釈迦様に甘茶をかけるのはなぜ?由来は?」
「日々是好日」より 「花祭りって何の日なの?甘茶や白い象とは?」