2017年3月15日
◎<人に感染するヘルペスウイルスは8種類ある>
- 単純ヘルペスウイルス1(HHV―1)
日本人の70~80%がこのウイルスに感染している。多くは乳幼児期に母親や周囲の人からの唾液により感染し、口内炎となる。その後ウイルスは三叉神経節に住み着き、免疫力が低下した時にウイルスが再活性化し口唇ヘルペスなどの症状を引き起こす。再発を繰り返しやすい。 - 単純ヘルペスウイルス2(HHV―2)
性器ヘルペスの原因となるウイルス。日本人の2~10%が感染している。ウイルスに直接接触(性感染症)や体液などから感染する。成人で初感染すると下半身や、陰部、肛門周囲に水泡、潰瘍、神経の痛みなどが現れることがある、生涯ウイルスを神経節に保持し再発を繰り返しやすい。 - 水痘、帯状疱疹ウイルス(HHV―3)
多くは乳幼児期に飛沫感染し水ぼうそうとなる。その後は免疫力が低下した時にウイルスが再活性化すると帯状疱疹となる - EB(エプスタインバー)ウイルス、(HHV―4)
大半の人が乳幼児期に感染するが無症状。青年,や成人で初感染すると伝染性単核球症を引き起こす事がある。キスなどの親密な接触により感染。潜伏期間は30~50日、風邪に似た症状が2週間くらい続く。脾臓が腫れる(50%)ことがあるので1か月は症状に注意する。 - サイトメガロウイルス(HHV―5)
サイトメガロウイルス感染症を引き起こす。成人の60~90%が抗体を持つ。通常は乳幼児期までに母親や周囲の人から感染するが母親からの移行抗体によりほとんどが不顕性感染である。ウイルスは生涯潜伏感染し免疫抑制状態下(移植後、免疫不全患者)で再活性化し種々の病態を引き起こす。胎児や未熟児が感染すると脳、聴力、視力などに障害が出る可能性がある。健常人でも思春期期以降に初感染をすると伝染性単核球症様の症状を起こすことが多い。このウイルスは感染力が強く感染者の体液に接触することで感染する。 - ヒトヘルペスウイルス6(HHV―6)
成人の90%が抗体を持ち体内に潜伏感染している。主に既感染の健康成人の唾液を介して感染する。生後半年から1歳くらいまでに感染し「突発性発疹」、など高熱と発疹の症状を引き起こす。移植後患者におけるウイルスの再活性化で脳炎を引き起こすことがある。 - ヒトヘルペスウイルス7(HHV―7)
成人の90%が抗体を持ち体内に潜伏感染している。主に既感染の健康成人の唾液を介して感染する。生後半年から1歳くらいまでに感染し「突発性発疹」、など高熱と発疹の症状を引き起こす。移植後患者におけるウイルスの再活性化で脳炎を引き起こすことがある。HHV―7はHHV―6感染後の突発性発疹を引き起こす。 - ヒトヘルペスウイルス8(HHV―8)
体液に接触にて感染(性感染症)日本人には少ない。感染しても無症状だが免疫力が低下すると発症する。エイズのカポジ肉腫原因ウイルス
◎<予防>
- 免疫力をアップ:過度のストレス、運動不足、栄養の偏りを改善する。
- 早めの治療:症状に気づいたら早めに診察を受けて薬物治療を開始する。
- 大人の水痘ワクチン接種はウイルス再活性化による帯状疱疹の予防や症状の軽減になる。
(50歳以上でリスクの高い疾病の方など:自費診療) - 妊婦や妊娠を望んでいる人はCМV(サイトメガロウイルス)抗体の検査を勧める。
免疫のない妊婦さんへの感染予防指導 - 人は多種のヘルペスウイルスに再感染したり再活性化することを繰り返して体内の免疫システムが刺激されて他の感染症に対する抵抗力も高めている可能性があります。正しい知識を持ち、健康上リスクを避けながらウイルスと上手に付き合っていくことが大切です。
ヘルスケア大学より引用