□医療費・社会保障費の確保が難しくなる□
日本では医療や年金・介護などの財源となる「社会保障制度」は基本的に賦課方式を採用しています。これは、いま現役の人が払い込んだお金を、現在の医療に支給する仕組みです。そのため、少子高齢化による人口構造の変化に伴い、この制度を維持できる社会保障費の確保が難しくなっていきます。厚生労働省の推計によると
年金を含む社会保障給付費総額は、2025年に150兆円に迫る見通しで、社会保障制度を維持していくには給付と負担のバランスの見直しが喫緊の課題となっています。
□日本の医療が作った「世界一の寝たきり大国」□
我が国の高齢者医療を取り巻く状況を端的に示すキーワードは、「寝たきり」と
「社会的入院」です。
寝たきりとは一日のほとんどをベッド上で過ごしている状態とされ、厚生労働省の統計によると、寝たきりの高齢者やその予備軍は、2025年には約490万人達すると考えられています。寝たきりは、病気や障害によって必然的にもたらされたものではなく、「寝かせきり」が一番の原因であることが指摘されています。
これは高齢者に対する適切な介護やリハビリテーション、介護人員が不足していることを反映しているものと考えられます。
寝たきりの患者がほとんどいないとされるデンマークでは、介護施設の入居者より介護職員の数の方が多く存在します。人員不足の日本と、マンパワーで勝るデンマークの医療・介護サービスを比較すると、質・量ともに差は歴然としています。
日本で寝たきりが増えてしまうのは至極当然の結果なのです。
また、社会的入院というのは、医学的には入院の適応がないにも関わらず、社会的理由(家で経過を見るのが心配、ケアをする人が近くにいない、などの理由)により
長期入院を続けたり入退院を繰り返す状態です。これは、病院の介護施設化を招くだけでなく、医療費増大や寝たきり助長・憎悪に加担しています。
「自分の命は自分で守る」ことを皆が自認し、自分の健康を見つめ直すことを余儀なくされるのです。
(HUFFPOSTより)