肌に貼ることで、有効成分が皮膚から吸収される貼り薬。飲み薬を服用できない人でも使用できるほか、飲み忘れを起こしにくく、服薬継続率の向上につながるという利点があり、心臓病やアルツハイマー病などさまざまな病気の治療に用いられています。一方で、薬が接触している部分に皮膚炎を起こしやすいといった問題もあります。
貼り薬は皮膚に直接貼るため、角質層にダメージを与えたり、皮膚炎を引き起こしたりする例があります。よく見られるのは、紅斑を伴うヒリヒリ感、痛み、かゆみなどの「刺激性接触皮膚炎」です。
東京逓信病院皮膚科の江藤医師は「多くは貼付剤を剥がせば1~2日で軽快しますが、貼った部位で皮膚炎が繰り返されると厄介です。症状が続く場合は、ステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬で治療し、改善しなければ使用を中止します」と説明しています。
皮膚のトラブルは、適切な貼り方・剥がし方、スキンケアで予防が可能な場合があります。使用する際は、貼る場所を毎日変更する、貼る前に皮膚がかさかさしていないか、赤みがないかを確認する、剥がす時には周りの皮膚を手で押さえ、持ち上げないようにして剥がすといった点に注意しましょう。
また、皮膚が乾燥すると、外からの異物の侵入を防御するバリアー機能が低下し、トラブルにつながる恐れがあります。日常生活では、体を洗うときにこすって傷めないようにし、保湿のためのスキンケアを行いましょう。ワセリンや保湿剤ボディークリームなどを使って、前日に貼付剤を貼っていた場所と翌日に貼る予定の2カ所に塗るとよいでしょう。
(時事メディカルより 引用)