未病とは、「発病には至らないものの健康な状態から離れつつある状態」を指しています。自覚症状はなくても検査で異常がみられる場合と、自覚症状があっても検査では異常がない場合に大別されます。
病気ではないけれど健康でもない状態、つまり、「だるい」「疲れやすい」「冷える」といった不調も未病といえるので、「そういえば自分も思い当たる」という人は、少なくないと思われます。
「病気になってしまってからそれを治すよりも、病気になりにくい心身をつくることで病気を予防し、健康を維持する」という予防医学の重要性が認識されるにつれ、「未病」も重要なキーワードになってきています。

未病の段階は、健康な状態と病気の間で少しずつ体調が変化しているため、自分では体からのSOSに気づかないのに、健診の検査数値の変化でわかる場合もあります。さまざまな検査方法がある今、健診は自覚症状がない未病を発見できるチャンスです。必ず年に一度、健診を受診し、結果を確認しましょう。
自分が未病の状態だと気づいたときは、まずは自分の体調や生活習慣に目を向けてみましょう。今まで意識せずに繰り返していた日常生活の中に、その原因があるかもしれません。未病の段階で食事習慣や運動習慣を見直せば、病気になってしまってから見直すよりも、健康な状態への早期回復が期待できます。
生活習慣病の人が、治療や生活習慣改善を心がけることは大切ですが、さらに未病の人も自分自身の健康状態に意識を向けるようにしましょう。

日本は世界でもトップクラスの長寿を誇りますが、日本人の平均寿命と、健康的な生活を送ることができる健康寿命の間には、約10年のギャップがあります。
未病の段階で、自分の生活習慣を見直していくことで病気を予防し、病気になる時期をできるだけ遅らせることを目指しましょう。未病への対策で病気の発症を遅らせることは、日常生活に支障がある期間をできるだけ短くし、健康な状態で過ごせる期間(健康寿命)をのばすことにつながります。
これからの超高齢社会で、「未病対策」は健康寿命の延伸につながる大切な視点といえるでしょう。

                                            (全国健康保険協会より引用)