勃起障害(ED)

 

勃起とは

陰茎には常に血液が循環していますが、普段は陰茎に入る血液(動脈血)と出て行く血液(静脈血)が同量のため、膨張が起こらず柔らかい状態になっています。 性的な興奮を受けると、神経からのシグナルによって動脈が拡張して陰茎に入る血液の量が増え、この血液が「陰茎海綿体」を膨張させることにより陰茎が硬くなります。 膨張した陰茎海綿体は静脈を圧迫するため陰茎から出て行く血液量が減り、膨張状態が維持されます。

 

EDの定義

EDは正式名称を「Erectile Dysfunction」といい、日本語では「勃起不全」と訳されています。 「満足な性行為を行なうに十分な勃起とその維持が出来ない状態」と定義されています。

 

ED治療薬はどのように効くのか?

現在ED治療薬として販売されている「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」は、いずれも勃起の際の陰茎の血管拡張を助ける薬です。 性的刺激によって神経から送られるシグナルは、いくつもの段階を経て最終的に血管を拡張させます。「ホスホジエステラーゼ(PDE)」という物質は、この経過を阻害する働きがあります。ホスホジエステラーゼにはいくつかの種類がありますが、この中で「タイプ5(PDE-5)」が勃起の際の血管拡張に関与しています。ED治療薬は、このPDE-5の働きを抑えることによって勃起の際の「性的刺激→血管拡張」というプロセスを円滑に行なわせるのです。 このように、ED治療薬は血管拡張に働きかける薬剤であり、神経への働きかけを行なうわけではないので、薬を飲んだだけで勃起するわけではありません。ED治療薬には性的興奮作用や性欲増進作用はありません。

 

EDの原因

EDは「勃起するのに十分な血液が陰茎に流れ込まれない状態」と考えることができます。原因としては、血管や神経のトラブルや薬の内服による「生理学的」なものと、ストレスなどの「心理的」なものが考えられます。

  • 生理学的な原因としては、まず血管の障害があります。 前述のように、勃起は動脈の拡張によって陰茎への血流量が増加することが必要です。しかし、血管の障害によって動脈が硬くなって十分に拡張できない状態になると、十分な血流量の増加が起こらないためEDの症状が現れます。これらの病気がなくても、加齢による動脈硬化がEDの原因となり得ます。
  • 神経の障害もEDの原因となります。 勃起は神経からのシグナルによっておこります。神経が障害を受けてシグナルが送られなければ、EDの症状が現れるわけです。神経に障害を来たす原因となるのは、糖尿病などの内科的な病気、前立腺がんや膀胱がん治療の影響による神経の損傷、脊髄損傷による神経の損傷、そして脳出血、脳腫瘍などの脳の病気によるものがあります。
  • 内服している薬によってEDの症状が現れることもあります。 精神安定剤、抗うつ剤、抗男性ホルモン剤、抗コリン剤、そして一部の降圧剤などは、薬の効果として神経系に働きますが、この効果が勃起に関する神経にも及んでしまうことがあるのです。
  • 一方、血管や神経には異常がないにもかかわらずED症状がある場合、心理的な原因が考えられます。

勃起には「血管の拡張」が必要なのですが、これは「血管がリラックスした状態」と考えることができます。ストレスや不安などの心理的な緊張状態が血管のリラックスを妨げることもあり、これがEDの原因となるわけです。

 

ED薬治療

当院では、ED(勃起不全症・勃起障害)の治療薬「シアリス」「バイアグラ」「レビトラ」を全クリニックにおいて処方しております。ドクターカウンセリングでしっかりとした検診を行い、その場で処方いたします。

 

■シアリス

シアリスとは、ED(勃起不全症・勃起障害)治療 シアリス 本剤1錠中タダラフィルとして20mgを含有する黄色のアーモンド形フィルムコート錠で、勃起不全症に対する効果効能を示すとして、米国イーライリリー社(Eli Lilly)と米国アイコス社(ICOS)の共同開発により、平成15年11月にFDA(米国食品医薬品局)、平成19年10月に厚生労働省から承認を取得している経口治療薬です。

 

特徴

食事による効果への影響も小さく、過度のアルコール飲料を除けば、最長36時間程度効果が持続することがあります。ただし、刺激すると勃起するという効果で、勃起したままになるのではありません。また、催淫剤又は性欲増進剤ではありません。

 

処方の流れ)

  • 1.受付で問診票等記入
  • 2.医師による問診とED治療薬の説明
  • 3.必要に応じて心電図検査、血圧のチェック等

飲み方

1日1回、1錠のシアリス錠(1錠中タダラフィル20mg含有)を性行為の約1時間前にコップ一杯の水またはぬるま湯でかまずに飲んでください。次の服用は、2日間程度あけてください。医師の指示なしに、ご自分の判断で量を増やしてはいけません。

 

ご注意

  • 服用後、めまいや視覚障害(物が青く見えたり、まぶしくみえるなど)があらわれることがあるため、高所での作業、自動車の運転など危険を伴う機械を操作するときには十分ご注意ください。
  • パートナーまたはご家族の方に服用する(している)ことをお伝えください。
  • 他の診療科、医療機関を受診するときは、この薬を服用していることを必ず伝えてください。
  • 決して他人に譲り渡さないでください。
  • この薬はエイズなどの性行為感染症を防ぐことはできません。

◆ 次のような症状に気づいたら、使用をやめて必ず、すぐに主治医(当院)にご連絡/ご相談してください。「4時間以上勃起した状態が続いている場合」

 

シアリスを服用できない方

  • 1.シアリスを服用して過敏症をおこしたことのある方
  • 2.硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)を服用中の方
  • 3.心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる方
  • 4.血液透析が必要な方、低血圧(血圧で上が90mmHg以下)の方、又は治療による管理がなされていない高血圧(上が170mmHg以上 もしくは 下が100mmHg以上)の方
  • 5.脳梗塞、脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ケ月以内にある方
  • 6.α遮断薬(排尿障害や高血圧の治療薬)を使用中の方

 

■バイアグラ

バイアグラとは、ED(勃起不全症・勃起障害)治療 バイアグラ 本剤(1錠中を含有)は、勃起不全症(満足な性行為を行うに十分な勃起を発現できない、あるいはその維持が出来ない状態)の改善効果を示すとして厚生労働省から承認を取得している経口治療薬です。 本剤1錠中シルデナフィルとして50mgを含有する青色のフィルムコート錠で、勃起不全症に対する効果効能を示すとして平成11年1月25日にファイザー株式会社が厚生労働省から承認を取得している経口治療薬です。

 

特徴

食事の後やアルコール飲料を摂取した後に服用すると効果があらわれるまでに時間がかかります。刺激すると勃起するという効果で勃起したままになるのではありません。また、催淫剤又は性欲増進剤ではありません。

処方の流れ

  • 1.受付で問診票等記入
  • 2.医師による問診とED治療薬の説明
  • 3.必要に応じて心電図検査、血圧のチェック等

飲み方

1日1回、1錠のバイアグラ錠(1錠中シルデナフィル50mg含有)を性行為の約1時間前にコップ一杯の水またはぬるま湯でかまずに飲んでください。次の服用は、必ず24時間以上あけてください。医師の指示なしに、患者判断で量を増やしてはいけません。

ご注意

  • ・服用後、めまいや視覚障害(物が青く見えたり、まぶしくみえるなど)があらわれることがあるため、高所での作業、自動車の運転など危険を伴う機械を操作するときには十分ご注意ください。
  • ・パートナーまたはご家族の方に服用する(している)ことをお伝えください。
  • ・他の診療科、医療機関を受診するときは、この薬を服用していることを必ず伝えてください。
  • ・決して他人に譲り渡さないでください。
  • ・この薬はエイズなどの性行為感染症を防ぐことはできません。

次のような症状に気づいたら、使用をやめて必ず、すぐに主治医(当院)にご連絡/ご相談してください。 「4時間以上勃起した状態が続いている場合」

 

 

バイアグラを服用できない方

  • 1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
  • 2.硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)を服用中の方(※詳しくは併用禁忌薬剤の一覧を参照ください)
  • 3.心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる方
  • 4.重度の肝障害のある方(黄疸、肝硬変など)
  • 5.低血圧(血圧で上が90mmHg以下、下が50mmHg以下)の方
  • 6.治療による管理がなされていない高血圧の患者で、安静時で上が170mmHg以上 もしくは 下が100mmHg以上の方
  • 7.脳梗塞、脳出血や心筋梗塞の既往歴が最近6ケ月以内にある方
  • 8.網膜色素変性症の方

 

 

■レビトラ

特徴

レビトラは食後すぐに飲んでも効果に影響がなく、服用後約10~25分以内で効果発現をもたらし、4~5時間作用するという報告があります。

一方、バイアグラは食後すぐ服用すると効果が下がると言われ、飲んで30分から1時間で効き始め2~3時間程度の作用です。 従いまして、レビトラはバイアグラと比較して、食事の影響を受けにくく、早く効いて長く作用するという特長があります。 なお、刺激すると勃起するという効果で勃起したままになるのではありません。

処方の流れ

  • 1.受付で問診票等記入
  • 2.医師による問診と薬の説明
  • 3.必要に応じて心電図検査、血圧のチェック等

飲み方

1日1回、1錠のレビトラ錠(1錠中バルジナフィルル10mg含有)を性行為の約1時間前にコップ一杯の水またはぬるま湯でかまずに飲んでください。次の服用は、必ず24時間以上あけてください。 医師の指示なしに、自分の判断で量を増やしてはいけません。

ご注意

医師の処方のもと適切な服用を行えば、レビトラはとても安全性の高い薬品です。 また、医師の処方なしに服用されることは、万が一副作用が起こった時など適切な処置がとれず危険ですので、お止めください。

レビトラを服用できない方

  • 1.硝酸剤を使用している方
  • 2.レビトラを服用して過敏症をおこしたことのある方
  • 3.心血管系障害などにより医師から性行為が不適当だと診断されたことがある方
  • 4.先天性の不整脈
  • 5.(QT延長症候群)の方、抗不整脈薬を使用中の方
  • 6.最近6ヶ月以内に脳梗塞・脳出血や心筋梗塞を起こしたことがある方
  • 7.重度の肝障害の方
  • 8.血液透析が必要な腎障害のある方
  • 9.低血圧(上が90mmHg以下)の方
  • 10.高血圧(上が170mmHg以上 もしくは 下が100mmHg以上)の方
  • 11.不安定狭心症の方
  • 12.リトナビル、インジナビル、アタザナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾールを使用中の方
  • 13.α遮断薬(排尿障害や高血圧の治療薬)を使用中の方
  • 14.網膜色素変性症(進行性の夜盲)の方