2017年3月23日
「朝食から得られる健康効果」
1日の始まりの朝食。最近の研究で「食べた方が生活習慣病のリスクを下げる」という見方が確実になってきました。朝食には、生活リズムを整えるだけではない、意外な効果があるようです。
国立がん研究センターと大阪大学は昨年1月、朝食の欠食と脳卒中、虚血性心疾患の関連を解析した研究結果を公表しました。朝食を週に0~2回しか摂らない人たちは、毎日食べる人たちに比べて、脳出血の発症率は36%高かったそうです。朝食の欠食は肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病のリスクを上げることがこれまでの研究で分かっていますが、脳出血のリスク上昇をも招くことは、世界でも初めての研究結果だといいます。なぜ、朝食を抜くと脳出血のリスクが高くなるのか。脳出血の最大の要因は高血圧です。一般に血圧は朝、目覚める1時間ほど前から上昇し始め、起床後約2~3時間でピークになります。そして夜の就寝後に徐々に下がっていきます。この生活パターンの中で朝食を抜くと、副腎皮質からホルモンの一種のコルチゾールがより多く分泌され、それが血圧を押し上げるのではと考えられています。逆に、血圧の上昇がピークを迎える前、つまり起床して1時間前後に朝食を取るとコルチゾールの分泌が抑えられ、血圧の上昇も抑えられます。 血圧は塩分(ナトリウム)の摂取でも上がります。朝食を摂る場合には、尿でナトリウムを排泄する作用のあるカルシウムや、カリウムの豊富な乳製品や野菜・果物も摂るといいそうです。
朝食の重要性は、1日のうちでいつ何を食べれば、健康によいかを研究する「時間栄養学」の視点からも解明されつつあります。24時間周期に体内時計を合わせるためのリセットの役割を果たすのが朝の光と食事です。朝の光の方がリセットの作用は強いですが、朝食も大切だそうです。また、朝、昼、夜の食事をどのような割合で食べればよいかですが、1日3食の場合、朝にしっかりと食べる方が太りにくく、逆に夜にたくさん食べると太りやすいだけでなく、筋肉を作るたんぱく質が合成されにくくなることが研究で分かっています。栄養ドリンクを飲んだり、ヨーグルトのような乳製品だけを摂ったりしても、朝食を摂ったことにはなりません。
朝食を摂る、摂らないで体調がよいかどうかは、個人の主観によりそれぞれ異なりますが、体には良いことが多そうです。朝食も含めて、食生活をもう一度見直してみる必要があると思いました。
毎日新聞より引用