無意味な延命治療の中止をもとめるリビング・ウィルを書く場合にもっとも重要なことは、それを読んだ医療従事者や介護者が理解できるよう具体的に書くことです。このような状態になったら、延命治療を中止してほしいと書いてください。
 ただし、延命治療の中止をもとめる根拠となる病状が、医師側にも十分納得されることが必要です。
 我が国では法律によって決まっているわけではありませんが、私の著書「やすらかな死を迎えるためにしておくべきこと リビング・ウィルのすすめ」(PHP新書)で詳しく説明しているように、厚生労働省などから出ているガイドラインや指針にしたがい、医療従事者はリビング・ウィルを尊重してくれるようになりました。
遺産相続のための遺書とは違いますので、わざわざ弁護士や公証人に書いてもらう必要は全くありません。
できるかぎり、ご自分の言葉で書いてください。パソコンで書き、印刷したものでかまいません。
ただし、日付けと著明・捺印は自分でしてください。
 リビング・ウィルを残そうとする人は、60歳から70歳以上の人でしょう。
 リビング・ウィルにはその意思表明書を意識もしっかりしているし理性的な判断もできる状態で書いていることを述べてください。さらに、自分が60年ないしは70年という人生を精一杯生きてきたこと、そして、もし自分の身に何かが起こっても、もう決して悔やむことはないほど十分長い人生を経験してきたことも付け加えていただくとよいと思います。
リビング・ウィルがない場合、医療・介護側から、栄養補給を含む延命治療を続けるかどうかを聞かれた家族はたいへん迷います。家族自身が無意味な延命治療は嫌だと思っていても。中止によりあなたの命を縮めることになる決断を下すのは、なかなかできずズルズルと延命治療が続けられるのが普通です。ですから、リビング・ウィルは家族の迷いを救うことにもなるのです。

無意味な延命治療の中止をもとめる意思表明書の書き方