脱水症状は、気温が高く汗をかきやすい夏に起こりやすいと思われがちですが、乾燥して
いるのに水分をあまり摂らないでいると、冬にも起こる可能性があります。口の中がネバネバ
する、体がだるいといった症状に心当たりはありませんか?

冬は「不感蒸泄」が起こりやすい
 冬に脱水が起こりやすいのは空気が乾燥しているからです。人は、汗をかかなくても、皮膚
や呼気から水分を失っています。1日に失う水分量は条件によって違いますが、おおよそ皮膚
から600ml、呼気から300mlです。自覚しないまま水分が蒸発したり排泄されると
いう意味で、これを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といいます。空気が乾燥していたり、風邪などで発熱すれば、失われる水分量は増えます。
 東京の平均湿度(1981~2010年)は、7月が77%ですが、12月が56%、1月
が52%、2月が53%と冬になると下がります。暖房が効いた室内の湿度はさらに低下し、
体内から失われる水分は増加します。空気の乾燥に加えて、体幹温度が低くなるためのどの
渇きを感じにくく、水分摂取量が減って脱水が起りやすくなるのです。

皮膚のかさつき、だるいなど体調不良
 脱水症状は、軽度なら皮膚のかさつき、体がだるい、ぼんやりする、めまいなどですが、
脱水が進むと、頭痛、吐き気、呼吸の乱れ、筋肉のけいれんなどが起ります。また、水分が
失われると血液が濃くなり、ドロドロの状態で血栓という血の固まりができやすくなり、脳梗塞
や心筋梗塞を起こすことがあります。さらに冬は感染症性胃腸炎やおう吐や下痢がおもな症状で、
体から水分が失われます。インフルエンザなどで高熱がでた場合も発汗するため体から水分が
失われます。こうした感染症にかかったら、体の脱水に気を付けて下さい。

意識して水分をとる習慣を
 体の水分量が少ない高齢者だけでなく若い人も、冬は脱水が起こりやすい季節です。
日常的な脱水予防には、日頃から水分をとる習慣をつけてください。また、感染症などで水分の
排出が多い場合は、スポーツドリンクや経口補水液などで電解質を補うことが大切です。
 成人は不感蒸泄を含めて1日に2500ccほどの水分が失われています。食事で得られる
水分は1日約1300ccですから、その差は約1200cc。コップ1杯が200ccとすると
1日に6杯の水分補給が必要です。起床時、入浴前後、就寝時などにこまめな水分補給を。
 また、暖房で乾燥した室内には加湿器を使ったり、濡れタオルを干したりすると乾燥を防ぐ
ことができます。かさつく肌には保湿クリームを使えば不感蒸泄も防いでくれます。

     (ウェザーニューズより)